2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋筋原線維形成過程における太いフィラメントの形成・制御機構に関する研究
Project/Area Number |
22580301
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
服部 昭仁 北海道大学, -, 名誉教授 (50125027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾嶋 孝一 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所, 研究員 (60415544)
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Keywords | 骨格筋 / ミオシン / 太いフィラメント / 筋原線維 |
Research Abstract |
骨格筋線維内に存在するサルコメアはアクチンを中心とした細いフィラメントとミオシンを中心とした太いフィラメントにより構築される。太いフィラメントは双極性であり、直径15nm、長さ1.6micro meterとサイズは厳密に制御されている。しかし、筋原線維形成過程において太いフィラメントの形成メカニズムは不明な点が多い。本研究では「太いフィラメント形成過程においてミオシンに結合する分子が太いフィラメントの形成を制御する」との仮説を提起した。昨年度に引き続き本年度も、GST-Pull down法と質量分析計を組み合わせることで、ミオシンに結合する分子をいくつか同定した。その後、同定した分子とミオシン分子との結合能をCOS細胞内での強制発現の系を用いて確認したが、いずれの分子もミオシン分子と特異的に結合を示すことはなかった。また、抗ミオシン抗体を用いて免疫沈降を行い、結合してきた分子を質量分析計で同定し、その分子とミオシン分子との結合能も追試したが、結果はネガティブなものであった。 上記と並行して、ミオシン分子自体に太いフィラメント形成能および制御能があるかを精査した。具体的には、ミオシン変異体の発現コンストラクトを作成し、骨格筋型ミオシンを発現しないCOS細胞に遺伝子導入し、ミオシンフィラメント形成能を検討した。その結果、ミオシンのLMMが存在すればフィラメントを形成することが明らかになった。S2のみを発現させると全くフィラメント形成は示さないが、S2+LMMを発現させた場合、LMMのみを発現させた場合よりも、フィラメントが長く、かつ太くなる傾向が見いだせた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
太いフィラメントを構成するミオシンに結合する分子を見出すためにPull-down法および免疫沈降法を用いたが、いずれの方法においてもミオシンに結合する新規の分子を見出すことができなかった。しかし、ミオシン分子自体が持つフィラメント形成能に関して面白い結果を得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
サルコメアにおいて太いフィラメントと隣接して存在する巨大弾性タンパク質であるコネクチン/タイチンに着目し太いフィラメント形成制御能を検討する。具体的にはミオシンが形成する太いフィラメントの先端が接するコネクチンの部位とミオシン分子との結合能、および太いフィラメント形成能に及ぼす影響を精査する。さらにGFP標識したミオシンを培養細胞に発現させ、太いフィラメント形成過程を詳細に観察し、ミオシン分子自体が持つフィラメント形成能および制御能を検討する。
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