Research Abstract |
in vitroによる過酸化水素投与予備試験では,0mM,0.3mM,1.0mMおよび2.0mM添加区を設定して試験を行った。今年度は,動物に過酸化水素を投与する(in vivo)にあたり,安全を考慮して,in vitroより低い,0mM,0.5mM,0.75mMおよび1.0mMを投与量に設定して実験を行った。【材料と方法】試験には,ルーメンフィステル装着去勢綿羊1頭(体重40.0kg)を用いた。供試飼料は,十勝産チモシー乾草を,55g乾物/kg0.75/日の給与量で,朝8:00と夕16:00の二回に分けて給与した。水とミネラルは自由摂取とした。過酸化水素投与量は,体重50kgの羊のルーメン容積を20Lとし,その90%を内容物が占めると仮定してルーメン内容積を算出した。これをもとに,過酸化水素終濃度が目的の濃度となるよう調製した過酸化水素水50mlを,フィステルより投与した。馴致期間は7日間とし,・その後,メタン発生量の測定を3日間およびルーメン液採取1日を,各試験期で連続して行った。ルーメン液の採取は,朝の飼料給与0,1,2,3,4,5,6,7および8時間後に行い,pHおよびORPを測定した。【結果】過酸化水素を0.5,0.75および1.0mM投与したとき,それぞれの投与時でメタンの代謝体重1kgあたりの発生量は,対照区(0mM)と比較して,22.9,37.4および53.4%低い値を示した。対照区と0.5および0.75mM投与区の二酸化炭素発生量に差は認められなかったが,1.0mM投与区では,対照区と比較して26.7%低い値を示した。過酸化水素を投与した試験区では,一時的にORPが上昇したが,8時間後では全ての試験区で対照区と同様のORPを示した。過酸化水素投与後1時間で,各試験区においてpHに変化が観察されたが,投与量による影響の差はみられなかった。
|