2011 Fiscal Year Annual Research Report
リプログラミング状態の非侵襲的評価系を用いたミニブタ体細胞核移植技術の高度化
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22580321
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
三好 和睦 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (70363611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 正宏 鹿児島大学, フロンティアサイエンス研究推進センター, 教授 (30287099)
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Keywords | 体細胞クローニング / 核移植 / リプログラミング / ミニブタ |
Research Abstract |
前年度の研究において、活性化処理後のミニブタ体細胞クローン胚をヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるスクリプタイドで処理することにより、その後の体外発生が改善されることを見出した。そこで本年度は、動脈硬化症の原因遺伝子(ヒトアポリポプロテイン(a)遺伝子)を導入したミニブタ体細胞に由来するクローン胚をスクリプタイドで処理した後に仮親に移植し、体内発生状況について調べた。3,074個のクローン胚を13頭の仮親に移植した結果、2頭から1頭ずつ産子が得られた。そのうち1頭は死産であったが、もう1頭は正常に発育している。発育中の産子の遺伝子を解析した結果、ヒトアポリポプロテイン(a)遺伝子の導入が確認された。以前に本研究室において、スクリプタイド処理を用いずにヒトアポリポプロテイン(a)遺伝子導入ミニブタの作出を試みた場合には、得られた産子はいずれも死産あるいは産後直死であった。よって、スクリプタイドはミニブタ体細胞クローン胚の正常な産子への発生を支持し得ることが示唆された。さらに、ミニブタ体細胞クローン胚の体外発生を改善し得る他の要因について探索した結果、定期的な振動を与えながら体外成熟培養した卵子からクローン胚を作出することにより、胚盤胞形成率が改善されることを見出した。また、活性化処理後のクローン胚を体細胞から幹細胞への脱分化誘導剤である6-ブロモインディルビン-3'-オキシムで処理することにより、多数の細胞を含む質の高い胚盤胞を作出できることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クラウン系ミニブタにおける体細胞核移植技術を高度化し、それを用いて生存能力を持つ遺伝子改変ミニブタの作出に成功したから。
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Strategy for Future Research Activity |
リプログラミング状況の非侵襲的評価に用いるドナー体細胞が継代回数の増加から使用できなくなったので、本年度の研究においてはクローン胚の体内発生状況について調べた。その結果、スクリプタイド処理を用いて、ヒトアポリポプロテイン(a)遺伝子を導入した動脈硬化症モデルミニブタを作出することに世界で初めて成功したが、作出効率は低い値であった。この研究と並行して、新たにリプログラミング状況評価用ドナー体細胞を樹立したので、今後はこれらを用いてクローン胚の体外発生を改善し得ることが明らかとなった他の要因について評価し、リプログラミング促進作用を持つ要因を組み合わせることによって作出効率の向上を目指したいと考えている。
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Research Products
(12 results)