2010 Fiscal Year Annual Research Report
タイレリアオリエンタリス原虫の培養系および実験動物系を用いた分化・増殖機構の解析
Project/Area Number |
22580344
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
荻原 喜久美 麻布大学, 環境保健学部, 講師 (50154381)
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Keywords | 原虫 / Theileria orientalis / BO-RBC-SCID / マクロファージ |
Research Abstract |
Theileria orientalis (T. o)はダニの吸血によって媒介されるウシ小型ピロプラズマ症の病原体である。ダニから放出されるスポロゾイト期原虫がウシに感染した後の生活環は不明な点が多く残されている。新たに樹立した細胞株3株について、感染牛末梢血中の接着細胞(iAdh)を培養した。原虫の存在を免疫組織学的ならびに超微形態学的に証明した後、ウシ赤血球置換SCIDマウス(SCID-Bo)に移植し、T. oの生活環を赤内型原虫へと分化誘導させる事が可能であるか否かを目的とした。T. o感染細胞株は、いずれもHt値が低値で、小型ピロプラズマ寄生率が高いウシの末梢血から樹立した。原虫感染はPCR法、蛍光抗体法(FA)、電顕および免疫電顕(pre-embedding法)により確認した。SCID-Boは、摘脾したSCIDマウスの腹腔内にNestedPCRでT. o非感染を確認後ウシ赤血球を移入し作製した。その結果、感染細胞株は、MPSP遺伝子のU-プライマーを用いたPCRでバンド検出、抗T. o MAb Rag23によりFA陽性を呈し、類円形の核と明瞭な核小体が認められ、広い細胞質にはファゴソームが観察された。May-Grunwald-Giemsa染色において細胞質の空胞内に好塩基性の点状構造物が多数認められ、免疫電顕では、細胞質の空胞内に500~700nm程度の類円形をした原虫が確認された。SCID-Boの牛赤血球の割合は35.3~61.9%であった。細胞株間で中等度の差は認められたが、最も早い症例で感染細胞接種12日目に赤内型原虫が確認され、最高感染率が64日目で59.1%に達したマウスもみられた。この実験より、いずれの細胞株も株間で差が認められたものの、iAdhで継代増殖したT. o原虫がSCIDマウス内のウシ赤血球に感染し、赤内型原虫へと分化増殖する事が証明された。
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Research Products
(3 results)