2011 Fiscal Year Annual Research Report
新たなプローブを用いたゴルジ体―小胞体間輸送の解析
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22580386
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
橋本 仁志 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (50372826)
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Keywords | 小胞体 / ゴルジ体 / 逆行輸送 / 小胞輸送 / Rabタンパク質 / RabGAP |
Research Abstract |
小胞体で合成された分泌蛋白質、膜蛋白質はその機能すべき場所に正確に輸送される必要がある。またこの際、まだ的確にフォールディングされていなかったり変性してしまった異常な構造をした蛋白質は、小胞体およびゴルジ体といった分泌の初期過程において取り除かれなければならない。小胞体とは別にゴルジ体は積極的に異常蛋白質を小胞体へと送り返す機構などを通じて品質管理を行うための仕組みに深く関与していると考えられる。本研究ではゴルジ体から小胞体への逆行輸送経路の制御を司る因子を解明することを目的とする。前年度までに逆行輸送に関連するタンパク質として知られるRab2GTP結合型タンパク質の複合体を単離することに成功した。 本年度はこれを受けてさらに次のような実験を行った。 1.複合体に含まれるタンパク質の同定 2.Rab2結合タンパク質の一つ、TBC1D16のクローニングとその機能の研究 3.別の結合タンパク質Golgin-45のクローニングと複合体の精製 以上の実験より次のことを明らかにした。 1.Rab2タンパク質は活性化することにより、別のRabタンパク質を不活性化するGAPである、TBC1D16を膜上にリクルートする。このことにより輸送段階の一つ前で機能していたRabタンパク質を不活性化し、次の段階へと導く。 2.Rab2により膜上へとリクルートされるGolgin-45タンパク質はゴルジ体同士の結合に関与しており、小胞体・ゴルジ体中間体から新たなゴルジ体を形成する際に機能し、Rab2はそのステップを制御していると考えられる。 これらのことからタンパク質輸送の過程でRab-Cascadeと呼ばれるあるステップから次のステップに移る際に次々へとRabを取り替え、進行していく仕組みの一端が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
作製中または作製済みであった細胞株などが、震災による事故により失われてしまった。 それ以外では順調に進展しているが、予想外の展開もあり、当初予想していた方向的には少し遅れが生じているが、成果は出ていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題の立案当時は、細胞内逆行輸送のアッセイ系の確立を中心に据え、その開発を大きな目的としていたが、その過程で、細胞逆行輸送を制御する因子をいくつか同定することに成功したので、その解析を優先することに変更した。アッセイ系の開発も当然続行しているが、実際に細胞内で機能するメカニズムの解明を最優先として今後の実験の計画を立てることとした。この変更によっても、細胞内輸送機構の解明という大きな目的から離れることはなく嘱むしろ近づいたと考えられるので、今年度は現在の計画に沿って進める予定である。
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