2012 Fiscal Year Annual Research Report
縮合多環構造からなるビアリール型化合物の不斉合成法
Project/Area Number |
22590018
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
松本 隆司 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (70212222)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ビアリール / 軸不斉 / 天然物合成 |
Research Abstract |
23年度より新たに開始したdermocanarin類の全合成研究を推し進めた。Dermocanarin類は南半球に生息する毒キノコから単離される成分で,高度に酸素官能基されたアントラセンとナフタレンの誘導体とが互いのsp2炭素原子間で結合した構造をもち,軸不斉がある。また,二つの多環骨格を9員環ラクトン構造が架橋しており,その架橋鎖上には不斉炭素原子がある。軸不斉に由来する立体化学と,不斉炭素原子に由来する立体化学という二つの要素について,その相対立体配置および絶対立体配置を制御することが要求され,合成化学的に挑戦的な課題である。 この課題に対して申請者は,予め立体配置を制御して合成しておいた光学活性軸不斉ビフェニルに,環構造を付け加えていくというアプローチで臨み,本年度,dermocanarin類の一つであるdermocanarin IIの初の全合成を達成した。 すなわち,まず,適切に官能基化されたσ対称性ビフェニル化合物を,加水分解酵素を利用した不斉非対称化反応により,光学活性な軸不斉ビフェニルへと高収率かつ高鏡像体過剰率(>99% ee)で変換することに成功した。次に,その軸不斉を足掛かりとするジアステレオ選択的なアルドール反応により,側鎖部位に高立体選択的(97:3)に不斉中心を構築することに成功した。この光学活性ビフェニルの一方のベンゼン環を対応するベンゾキノンへの変換し,Diels-Alder反応を経て,所望のナフタレン構造を構築し,また,連続する電子環状反応を利用して,ビフェニルのもう一方のベンゼン環から所望のアントラキノン構造を構築した。最後に,それら二つの多環骨格を架橋する9員環ラクトン構造を構築し,dermocanarin IIを得た。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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