2011 Fiscal Year Annual Research Report
スプライシング因子SF3b阻害作用を有するハイブリッド誘導体の合成研究
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22590022
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
津吹 政可 星薬科大学, 薬学部, 教授 (90163865)
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Keywords | スプライシング阻害剤 / FR901464 / pladienolide / ハイブリッド誘導体 / SF3b |
Research Abstract |
最近、スプライシングファクターSF3bを標的とするFR901464とpladienolide類が相次いで発見され、スプライシングの阻害のみならず、イントロン翻訳を含めた詳細な機構の解明に期待が寄せられている。本研究では、FR901464とpladienolide類の相同部分を組み替えたハイブリッド誘導体を調製することで、SF3bを標的分子とする新たなバイオプローブの創製を目指すものである。本年度は、FR901464並びにpladienolide類のハブリッド合成を踏まえて、それぞれの新規合成法の開発を検討した。FR901464の合成においては、C1-6のLeft Half部とC7-15のRight Half部の2つに分けて合成を進めた。C1-6のLeft Half部は、市販のトリ-O-アセチル-D-グルカールを出発原料としてエポキシピランを調製し、さらにエポキシドの合成を達成している。一方、アミド単位を有するピラン環であるC7-15のRight Half部は、D-乳酸エチルがキラル素子となる。乳酸エチルをホモアリルメタリルエーテルに導いた後、RCMに付しピランとし、アリル位の酸化によりラクトンに導いた。Pladienolide類の合成はpladienolideBを標的とし、12員環マクロライド部分とエポキシドを含む側鎖部分に分けて合成を検討した。マクロライドの前駆体であるE-アルケンとsyn-ジオール単位を有するホルミル-α-ブロモエステルを調製し、Reformatsky反応に付すと、対応する12員環マクロライドが得られた。一方、エポキシドを含む側鎖であるC15-23単位は既知化合物の組み合わせにより、C15-23に相当するE-アルケンの調製を達成した。現在、FR901464及びpladienolideBの合成法の確立とハイブリッド誘導体の合成を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Pladienolide類のコア構造であるマクロライド単位の合成に成功し、側鎖部との連結を現在検討中である。FR901464の合成に関しては、エポキシピラン単位の合成がほぼ完成した。現在、アミド単位を有するピランとの連結を検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の合成法はいずれも収束的合成であるので、各々の合成中間体を用いることで種々のハイブリッド誘導体の合成を達成する。ハイブリッド誘導体を用いてSF3b阻害における構造活性相関を検討することで、新たなバイオプローブを創製する。さらに、スプライシング阻害による抗腫瘍活性発現の機構は非常に興味がもたれることから、詳細な検討を行いたい。バイオプローブの利用によりpre-mRNA核内保持やスプライシング機構の解明を分子レベルで推し進めていきたい。
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