2010 Fiscal Year Annual Research Report
小員環の歪みエネルギーの解消を基盤とする新規合成反応の開発と天然物合成への展開
Project/Area Number |
22590023
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
山下 正行 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (20239982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小関 稔 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (40465597)
岩崎 宏樹 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (70582592)
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Keywords | 環歪み / シクロプロパン / シクロブタン / アダンクチンB / 骨格変換反応 / 環開裂 / クマリン |
Research Abstract |
シクロプロパン環やシクロブタン環のような小員環は,高度に歪んだ構造であるため,角度歪みとねじれ歪みともに大きく環歪みをもっている。この歪みを解消するため,小員環は開裂しやすく,多種多様の反応性を有しており,有機合成化学上重要な化合物である。我々は,クマリン誘導体から得られるシクロプロパン誘導体やシクロブタン誘導体の環開裂による歪み解消をドライビングフォースとする興味深い骨格変換反応を見出し,これら反応を天然物の合成へ応用しその有用性を明らかにしている.今年度は、1) シクロプロパン環およびシクロブタン環を有する化合物を出発原料としその環開裂を鍵反応として熱帯雨林地帯に生育するコショウ科植物から単離されたアダンクチンBの全合成に取り組んだ。2) シクロブテン誘導体を出発原料としその環開裂を鍵反応としてマメ科植物(マザーオブカカオ)から単離されたロテノイド化合物であるグリリシドールの全合成に取り組んだ。3) 既に4位無置換クマリン誘導体から得られたシクロプロパン誘導体やシクロブタン誘導体の環開裂を伴う骨格変換反応は収率よく進行しうることを報告しているが、4位置換クマリン誘導体から得られるシクロプロパン誘導体やシクロブタン誘導体の骨格変換反応の検討はなされていない。そのため、これら誘導体の合成および反応を検討した。その結果、1) に関して、8-デイソプロピルアダンクチンBおよびアダンクチンBの全合成を達成し、2つの学会報告を行った。2) に関して、現在までに全合成までは至っていないが、ある程度の成果を得た。3) に関して、無置換体ほど効率は良くないが反応が進行することを確認した。今後、23年度も引き続き研究を続行するとともに得られた結果を学会発表および論文に投稿する予定である。
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