2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590049
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
加茂 直樹 松山大学, 薬学部, 教授 (10001976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奈良 敏文 松山大学, 薬学部, 准教授 (30241350)
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Keywords | 高度好塩菌 / 走光性 / ロドプシン / レチナールタンパク質 / ヒドロキシルアミン / ブリーチ / Natronomonas pharaonis / Halobacterium salinarum |
Research Abstract |
1.高度好塩菌には青ないし緑色の光から逃げるという負の走行性のレセププターであるセンソリーロドプシンII,SRIIが存在する。SRIIについて研究されているのは、Natronomonas pharaonisとHalobacterium salinarumである。N.pharaonisにおいて研究が進んでおり、走行性の発現には、NpSRIIのThr204が重要であり、このアミノ酸残基を変異させると走行性が起こらないことが報告され、この残基の役割も推定されている。それでは、H.SalinarumのSRII(HsSRII)では同じことが起こるのであろうか、について実験を行った。NpSRIIのT204に対応するアミノ酸残基はS201であるので、この残基をC,A,T,V,Yに置換したHsSRIIを作成して、走行性を調べた。N.pharaonisの場合とは異なり、この置換で走行性は何の変化も見られなかった。従って、N.pharaonisで提唱された機構は、必ずしも、SRIIの情報伝達機構に共通のものではないと考えられる。 2.レチナールタンパク質は、一般的にヒドロキシルアミンでレチナールがタンパク質から離れ、タンパク質は色を失う。これをブリーチと呼んでいる。HsSRIIのブリーチについて詳細に調べた。光照射によってブリーチの速度が加速されるので、光化学中間体とヒドロキシルアミンが反応しているは明らかである。種々の方法で、M中間体で反応することを明らかにした。 3.HsSRIIに関する研究が進展しない理由は、1)大量発現系がなかった、2)タンパク質が安定ではない、であった。昨年度に大腸菌での大量発現系を確立したので、1)は問題がなくなった。2)については、ブリーチの実験の途中で、そのヒントを得た。このことを踏まえて、HsSRIIを安定に扱う方法を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.HsSRIIを安定に取り扱える方法を確立したことにより、これからの研究の進展が期待できる。 2.NpSRIIで確立されていたかのように思われていた機構が、必ずしもすべてのSRIIに当てはまるわけではないことを発見した。今後、これを手掛かりに、また、上記の結果を踏まえて、新たな問題を発掘できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
バクテリアのロドプシンは光照射によって水素イオンの移動を伴う。光照射による吸収の時間変化から、光化学中間体の吸収スペクトルやその寿命を求める方法は、flash-photolysis法として確立されている。一方、有用な情報を与える水素イオンの移動(外液の間の)の時間分解測定法は十分でない。そこで、次年度は、時間分解(10マイクロ秒程度)プロトン移動測定装置の開発を行い、センソリーロドプシンに適用し、さらにcharacterizationを行う。
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