2010 Fiscal Year Annual Research Report
薬物代謝酵素シトクロムP450による代謝物の予測法に関する研究
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22590050
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
畑 晶之 松山大学, 薬学部, 准教授 (50241972)
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Keywords | シトクロムP450 / 薬物代謝 / ドッキングスタディ / 酵素-薬物複合体 / 密度汎関数法 / ONIOM法 / 酸化反応 / 活性化エネルギー |
Research Abstract |
今年度はCYPによる代謝物予測法の基礎の基礎を構築することを目標とし、当初計画に従い、1 CYP3A4への基質のドッキング、2 量子化学計算による酸素原子添加反応の検討、を行った。 1 CYP3A4はX線結晶解析により既に明らかとなっており、Protein Data Bank (PDB)には8種類のデータが登録されている。これらは基質の結合の有無や結合している基質の種類などが異なっており、そのため、活性部位の大きさも異なっている。基質として抗エイズ薬であるネビラピンと内因性ステロイドの一種であるアンドロステンジオンを使用し、これら8種類の酵素構造に対し(元々基質が結合しているものについてはそれを取り除いて)ドッキングスタディにより酵素-薬物複合体構造の構築を試みたところ、両基質につき十分な数の複合体構造が得られたものは1種類(PDB ID : 2HI4)のみであった。得られた複合体構造を精査し、ネビラピンについては4か所、アンドロステンジオンについては7か所の酸素原子添加部位が考えられ、それぞれを候補配置とした。 2 各候補配置につき、酸素原子添加反応をよく表現できるモデルを組み立て、その反応機構を密度汎関数法により求めた。反応が起こるために必要な原子構造の変化から活性化エネルギーを算出し比較したところ、アンドロステンジオンについては実験で得られる代謝物に基づく酸素原子添加部位は、そうでないものに比べ、その値が小さくなった。ネビラピンについてはさらなる検討が必要であるが、以上の結果は理論計算により、シトクロムP450による代謝物の予測が可能であることを示しており、今後行う、酵素全体の構造を用いた予測や、他の薬物での代謝物予測につながる結果であるといえる。
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Research Products
(1 results)