2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳の恒常性維持に対する高コレステロール血症の影響とその機構
Project/Area Number |
22590057
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石井 伊都子 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (00202929)
|
Keywords | コレステロール / 血管透過性 / 血液脳関門(BBB) |
Research Abstract |
血液脳関門(BBB)により中枢神経系の生化学的な恒常性が極めて高度に維持されているが、脳卒中やアルツハイマーになるとBBBの透過性が亢進することが報告されている。我々のこれまでの研究から野生型C57B1/6マウスに高コレステロール食を4ヶ月以上給餌すると、BBBの透過性が亢進し脳内mRNAの発現パターンが大きく変化ことが明らかになっている。そこで、高コレステロール血症によるBBB透過性亢進のメカニズムを明らかにするとともに、脳内のコレステロール代謝や神経原繊維の経時的変化を観察し脳機能にどのような影響を与えるかを具体化する。 特に本年度は、BBB破綻メカニズムの解明を明らかにすることとした。BBBにはZO-1という蛋白が存在しタイトジャンクションを形成する。この蛋白はMMP2やMMP9のようなゼラチナーゼ活性を有するプロテアーゼの基質となる。そこで、血中に分泌されているMMP2および9の量と活性測定したところ、MMP9の活性が有意に増加し。また、血液中に含まれる白血球の組成を調べたところ、リンパ球の割合が減少し、好中球の数が有意に増加していた。これまでの研究から好中球はMMP9を分泌することが知られている。従って、マウスに高コレステロール食を給餌すると、血液中に好中球が増加しMMP9を分泌しZO-1を破壊することでBBBの透過性が亢進したと考えられる。本研究は現在論文にまとめ審査のある雑誌に投稿中である。 高コレステロールを4週間給餌マウスの脳下垂体前葉ホルモンmRNAの発現量が低下していることをもとに、高コレステロールを11週間給仕した。脳下垂体由来mRNAに加えて、約30種類のmRNAの発現が増加し、約50種類のmRNAの発現が減少していることが明らかになっている。その内の成長ホルモンはmRNAが1/10以下に減少していることがわかったが、血中に分泌される成長ホルモンの濃度をELISAにて定量することは出来なかった。
|
Research Products
(1 results)