2011 Fiscal Year Annual Research Report
線虫を用いた腸細胞内リソソーム様オルガネラの形成・成熟に関わる遺伝的要因の解明
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22590070
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
大橋 綾子 岩手医科大学, 薬学部, 教授 (90272484)
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Keywords | ゲノム / 薬学 / バイオテクノロジー / 遺伝学 / 細胞組織 |
Research Abstract |
本研究課題2年目である平成23年度は、「腸内顆粒の形成・成熟の異常を検出する効率的なスクリーニングの実施」を中心に行った。[連携研究者 岩手医大・薬学部 白石博久 丹治貴博 錦織健児] 初年度、決定した大量スクリーニングに適した諸条件(RNAi feeding用大腸菌の菌濃度とタイミング、RNAi feediug処理を施した線虫の飼育温度、観察時期、顕微鏡と併用した高倍率デジタルマイクロスコープによる観察方法、スクリーニング1トライアルに必要なタイムスケジュールと線虫継代サイクル)を改良しつつ、実際にスクリーニングを開始した。11,000に及ぶfeediug RNAiクローンを含むライブラリーを用いて、スクリーニングをスタートしたが、現段階で既にいくつかの陽性クローンを同定した。その中には、「clear(実体顕微鏡レベルで線虫全体が透明に見える)」表現型としてWorm Baseに登録されているものとは異なる、新たなクローンも存在した。また、clear表現型を有すると報告された遺伝子群の中にも、我々のスクリーニングにおける観察では腸内顆粒には全く影響がみられないもの、腸内顆粒だけでなく卵のほぼ透き通って見えるなど影響が腸に留まらないもの、などが多く存在することもわかった。つまり、「腸内顆粒の形成や成熟の異常」という指標は、新たな表現型として独自の重要な意義をもつことがあらためて確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究目的」である、「線虫腸細胞内におけるユニークなリソソーム様顆粒の形成・成熟に関連する更に新たな遺伝子群を見いだすこと」は、十分に達成されている。ただし、次年度の継続スクリーニングにより興味深い遺伝子群が更に見いだされる可能性も極めて高い。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては、申請時の予定通り、昨年度候補としてあがった遺伝子のいくつかについて、その関連遺伝子群も含み、腸内顆粒の形成・成熟への影響の解析を進める。更に、次年度もRNAiライブラリーを用いたスクリーニングを継続する。研究遂行上の問題点は、個々の遺伝子解析と平行してスクリーニングを行うには不足している実験に要するマンパワーであり、技術補佐員の実験補助時間を増やす計画である。
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Research Products
(5 results)