2010 Fiscal Year Annual Research Report
レニン・アンジオテンシン系による血圧降下機構の解明
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22590093
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
屋山 勝俊 神戸学院大学, 薬学部, 准教授 (30248108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 博 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (00028870)
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Keywords | 血管内皮細胞 / Rhoキナーゼ / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
血管の収縮弛緩機構におけるチロシンホスファターゼの役割を明らかにする目的で、ラットならびにマウス大動脈リング標本での、チロシンホスファターゼ阻害薬オルトバナジン酸の作用について研究を行い以下の知見を得た。 ラット大動脈リング標本をオルトバナジン酸で刺激したところ、用量に依存した収縮反応が認められた。この収縮はNO合成酵素阻害薬L-NAMEで増強され、Srcファミリー選択的阻害薬PP2、あるいはRhoキナーゼ阻害薬Y-27632により強く抑制された。一方、マウス大動脈はオルトバナジン酸単独による収縮反応を示さなかったが、L-NAME存在下ではラット同様に用量依存性に収縮し、この収縮はPP2及びY-27632で抑制された。フェニレフリン収縮下、オルトバナジン酸はラット大動脈を収縮させ、L-NAME処置はそれを増強したが、逆にマウス大動脈は用量依存性の弛緩作用を示し、この弛緩反応はL-NAMEにより完全に抑制された。チロシンホスファターゼの選択的阻害薬PTP inhibitor-Iは、オルトバナジン酸と同様にラット大動脈を収縮させ、PP2及びY-27632はこの収縮を完全に抑制した。 以上の結果より、オルトバナジン酸は血管内皮細胞でのNO合成を刺激する一方、血管平滑筋細胞では、Srcファミリーチロシンキナーゼを活性化、それに続くRhoキナーゼの活性化を介して収縮を起こすものと考えられた。ラットとマウス大動脈でのオルトバナジン酸応答の違いは、内皮NO系の応答の差に基づくと考察される。
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Research Products
(4 results)