2010 Fiscal Year Annual Research Report
異常発生するラン藻類制御のためのライフサイクルに関する研究
Project/Area Number |
22590124
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
原田 健一 名城大学, 薬学部, 教授 (90103267)
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Keywords | ラン藻 / 制御 / ライフサイクル / 揮発性化合物 |
Research Abstract |
本年度の5つの実施計画のうち、1)野外における諸現象の観察は行われたが、未だその本質が把握できない状況が続いている。2)青色化現象の解明は、野外での観察および関連試料の分析の結果、実験室実験で得られている結果で説明が可能であることが判明し、現在2報の論文の投稿の準備をしている。3)揮発性化合物の動態調査では、目的揮発性化合物である、β-cyclocitralや1-butanol類はMicrocystis属のラン藻のみから検出され、今回用いた他の属のラン藻は産生していないことが示された。この結果はこれらの揮発性化合物がMicrocystis属のライフサイクルに関与している可能性を示唆している。なお、これらの結果は下記の論文に記載されている。さらに、本研究を実施中に新たに2-phenyletanolが多量に見出され、この化合物に関する研究も必要となった。4)本実験で検出された各化合物の機能に関する実験は、β-cyclocitralが溶藻および青色化に関与していることは明らかになっているが、その詳細は未だ未解明である。一方、1-butanol類の機能に関する研究は開始されていない。5)検出された各化合物の関連遺伝子やタンパク質に関する研究も進みつつある。β-Caroteneを切断してβ-cyclocitralを生成させる遺伝子(CCD)を取得したが、現在のところ物質レベルでの証明はできていない。一方、1-butanol類の生成に関与する脱炭酸遺伝子(KDC)をMicrocystis属から単離するとともにそのタンパク質も取得した。そして、物質レベルでの検討を行い、この遺伝子が確実に1-butanol類の生成に関与していることを確認した。なお、この結果は第45回水環境学会で発表した。次年度は1)、4)5)の実験とともにKDCに関する実験を重点的に行う予定である。
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Research Products
(3 results)