2011 Fiscal Year Annual Research Report
第2世代抗精神病薬投与時におけるメタボリック症候群誘発機序の解明
Project/Area Number |
22590157
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
松野 純男 近畿大学, 薬学部, 教授 (30299094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 賢治 近畿大学, 薬学部, 教授 (00117251)
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Keywords | 臨床薬学 / 第2世代抗精神病薬 / メタボリック症候群 / レプチン / 細胞分化 |
Research Abstract |
【目的】第2世代抗精神病薬(SGA)投与により発症するメタボリックシンドローム(MS)の発症機序について、レプチンの役割に焦点を当てて解析を行う事とする。特に、SGAの中でもolanzapineは他の薬剤に比べてMS発症作用が強く、risperidoneはolanzapineより低いものの肥満の副作用が観察される。他方、近年開発されたaripiprazoleはMSをほとんど発症しないと報告されており、抗精神病薬の違いによるMS発症の違いについても機序の解析を行う。 【結果】本年度は、In vitroのモデルとして肝癌由来株HepG2,脂肪前駆細胞3T3L1,神経細胞種Neuro-2aを用い、各抗精神病薬で処理した場合の細胞への影響および脂質関連遺伝子の発現状況を検討した。その結果、特に、神経由来細胞株であるNeuro-2a細胞においてオランザピンおよびリスペリドン添加時にレプチン受容体(LEPR)のmRNA発現が増加する事が観察された。他方、副作用としての肥満をほとんど発現しないアリピプラゾールは、LEPRのmRNAに変化が認められず、さらにNeuro-2aの分化に伴う神経突起の伸長を抑制しており、この違いが肥満の発症に関与する可能性が示された。非定型抗精神病薬は、ドーパミン以外の各種神経伝達アミン受容体への親和性が異なっている事から、現在それぞれの受容体からのシグナル伝達とLEPR発現との関連性を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、本年度中に培養細胞を用いたin vitroでの遺伝子解析を本年度で終了し、次年度に患者におけるmRNA解析を行う予定であったが、mRNAの発現が不安定で、検証ができていない。また、細胞表面受容体からのシグナル伝達との関係性も、現在検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子解析における安定性にはめどがついた事から、次年度前半でシグナル伝達経路とLEPRの発現状況との関連を速やかに検討する。本実験系については、以前より別の研究テーマで蓄積したノウハウを持っており、速やかな解析が可能と考えられる。 患者における検討に関しては、すでに本学薬学部倫理委員会の承認を得られている事から、培養細胞を用いた検討の結果を待たずに同時平衡で解析を進め、研究期間内に一定の方向性を見いだすように対応する。
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Research Products
(2 results)