2010 Fiscal Year Annual Research Report
薬物の経鼻吸収メカニズムの解明とリンパ移行性の最適化に関する研究
Project/Area Number |
22590161
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
古林 呂之 就実大学, 薬学部, 講師 (00399156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 大輔 就実大学, 薬学部, 助手 (50550620)
東 豊 就実大学, 薬学部, 教授 (90127697)
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Keywords | ヒト気道上皮細胞層 / Caco-2細胞 / P-glycoprotein / 経鼻吸収 / Mucociliary clearance / 粉末状製剤 |
Research Abstract |
本年度は、下記1)~3)の検討項目につき、実験を遂行した。 1) Caco-2及びヒト気道上皮培養細胞における薬物排泄トランスポーターの比較 P-glycoprotein(P-gp)の基質薬物のヒト気道上皮細胞層(EpiAirway^<TM>)に対する透過性を評価するために、試験をAbsorption system社(米国)に委託した。P-gp基質薬物の細胞層透過性の絶対値には差があるものの、透過機構にはEpiAirwayとCaco-2細胞層に類似性があることが明らかとなり、P-gp基質薬物の気道上皮層に対する膜透過をCaco-2により評価できる可能性を見出すことができた。 2) Mucociliary clearance機能を可逆的に抑制する添加剤の選定と経鼻吸収 鼻粘膜繊毛細胞の繊毛運動によるmucociliary clearance(MC)の抑制と薬物吸収の関係について検討した。前処理として、MCを抑制する薬物をラット鼻腔内に投与しておくと、norfloxacinの経鼻吸収率は未処置群と比較して増大することが明らかとなった。逆に、MCを促進する薬物の処置群では、経鼻吸収率は低下した。MCの制御により、薬物の経鼻吸収性の改善が期待できることを明らかにした。また、粉末状製剤(乳糖顆粒及び倍散)を投与した際にMCが抑制される傾向が見られたため、製剤添加剤によるMC制御についての検討を継続して進めている。 3) 粉末状製剤からの薬物膜透過性評価 粉末状製剤からの薬物膜透過と膜表面における水分量との関係を明らかにするために、培養細胞層による検討を行った。粉末状製剤のうち、膜表面の水分が取り込まれる製剤と取り込まれない製剤では薬物の溶出が異なり、薬物の膜透過に差違が生じることが明らかとなった。鼻粘膜吸収に適した製剤を選択するために、また、鼻粘膜表面の水分量と薬物吸収の関係を評価する上で重要な情報を得ることができた。
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