2011 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子スネイルによる細胞のエネルギー代謝調節機構の解明
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22590287
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
原口 みさ子 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (10244229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 政之 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90136854)
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Keywords | スネイル / ピルビン酸デヒドロゲナーゼ / ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーセ |
Research Abstract |
具体的内容:MDCKにスネイルを発現させたMDCK/snail細胞では酸化的リン酸化に関わる酵素の活性が低下する。その分子機構を解明した。酸化的リン酸化に関わるイソクエン酸デヒドロゲナーゼIDHコハク酸デヒドロゲナーゼSDE Complex I, Complex IIの活性低下みならず、解糖系から酸化的リン酸化に進ませることを決定する酵素であるピルビン酸デヒドロゲナーゼPDHの活性が顕著に低下していることを今年度あらたに見出した。そしてPDH活性を阻害する酵素であるピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ(PDK1)の発現をスネイルが亢進することをRT-PCR,プロモーター活性で確認した。 卵巣癌RMG1細胞をTGFbetaで処理すると上皮一間葉転換(EMT)が誘導されスネイルの発現が亢進する。スネイル発現が誘導されたRMG1細胞でも同様にIDH, SD, complexI,IIの活性低下がみられた。またPDK1の発現が亢進しPDHの活性が低下した。MDCK/snail細胞と同様にグルコース枯渇条件では細胞内ATP含量が低下し生存も低下した。 意義、重要性:癌細胞ではATP産生の効率のよい酸化的リン酸化が低下し解糖系の亢進がみられる(ワールブルグ効果)がその詳細な意義はわかっていない。PDK1の亢進、PDH活性の低下はワールブルグ効果を担う重要な分子である。スネイルがPDK1の発現を亢進し、PDH活性低下に関わるとすればワールブルグ効果に寄与することが確認できたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の目的についてはおおむね順調に進展していると思うが、RMG1細胞でスネイルをノックダウンした細胞がなかなかとれないため、代謝の変化が本当にスネイル発現のためであるという証明ができない。そのため論文が通らず業績とならない。
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Strategy for Future Research Activity |
スネイルをウイルスベクターを用いてノックダウンする方法が確立できたのでRMG細胞でノックダウンし代謝変化がスネイル誘導によるものであることを証明する。また種々の癌細胞でスネイルをノックダウンし間葉系細胞から上皮細胞へ変化するMETをおこさせる。そしてMETによって代謝変化がおこるかも確認する。 スネイルをノックダウンすると細胞の細胞外基質への接着が非常に強くなる。接着がATP産生にどのように影響するかも確認する。
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Research Products
(4 results)