2010 Fiscal Year Annual Research Report
血管の恒常性破綻と病的血管リモデリングの分子基盤に関する病理学的解析
Project/Area Number |
22590315
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中川 和憲 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (50217668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 孝臣 九州大学, 大学病院, 講師 (70380615)
岡野 慎士 九州大学, 大学病院, 臨床助教 (10380429)
鬼丸 満穂 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (00380626)
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Keywords | 血管リモデリング / 内皮細胞 / VEGF / ポドプラニン / 脈管新生 / シグナル伝達 / シェディング |
Research Abstract |
血管の恒常性破綻と病的血管リモデリングの分子基盤の解明を目的に、本研究では、病変進展における細胞間相互のシグナルや情報伝達機構について分子病理学的検討を行い、主に以下の成果を得た。 (1)血管新生における内皮機能の修飾の分子病態解析として、血管新生因子VEGF、VEGF-Cによる影響について検討し、両因子がそれぞれ、腫瘍細胞では上皮間葉移行など細胞の形質変化に重要な転写因子Twist-1の発現亢進させ、これらはVEGF-R1、VEGF-R3経路により行われ、R2経路を使用しないことが示唆された。またマウス重症虚血下肢モデルでのTwist-1発現は、血管新生の初期(開始)段階で重要な役割を果たすことが示唆された。 (2)血管の成熟安定化(周皮細胞を伴う血管構造維持)制御に内皮細胞におけるTie2の可溶型変換(シェディング)によるシグナル制御があることを明らかにした。このシェディング機構は、(i)低分子型、(ii)高分子型生成の2経路存在し、前者にはPKC-MMP14系連関、また後者にはADAM9が深く関与し、種々の病態に伴う微小環境変化へ対応した内皮細胞の機能修飾機構として働いていることとともに、内皮-周皮細胞間の情報伝達に重要なTie-2/Angシグナルが、複数の受容体分解制御機構により行われている解明した。 (3)腫瘍性脈管新生のシグナル解析について、マウス腫瘍移植モデルおよびポドプラニン発現細胞株(遺伝子導入で樹立)の検討から、リンパ管内皮マーカーであるポドプラニンが扁平上皮癌に発現した場合、JNKのリン酸化亢進を介してVEGF-C発現低下が起こり、リンパ節転移が抑制する事が示唆された。
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Research Products
(10 results)