2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590316
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古賀 孝臣 九州大学, 大学病院, 講師 (70380615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 和憲 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (50217668)
鬼丸 満穂 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (00380626)
岡野 慎士 九州大学, 大学病院, 臨床助教 (10380429)
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Keywords | CHFR / メチル化 / EGFR変異 / EML4-ALK / 非小細胞肺癌 / 腺癌 / 喫煙 / 扁平上皮癌 |
Research Abstract |
165例の肺腺癌においてEML4-ALK、CHFR異常メチル化、EGFR変異、KRAS変異を解析した結果、それぞれ11(6.7%)、16(10%)、48(29%)、13(8%)例に見出された。CHFR異常メチル化とEGFR変異は相互に背反(同一症例中に重複して見られない)に見出され(p=0.025)、CHFR異常メチル化陽性例は陰性例に比べて有意に予後不良であった(p=0.0017)。EML4-ALK、EGFR変異、KRAS変異のいずれかの遺伝子異常を有する症例はいずれの遺伝子変異も持たない群に比べて予後不良の傾向が見られた(投稿準備中)。以上の結果は、扁平上皮癌症例の解析にてCHFR発現低下例が有意に予後不良であったのと同様であった(Takeshita M, et al., Int J Cancer 2008)。これらの結果を踏まえて、CHFRの強制発現による癌細胞の細胞生物学的、および分子生物学的変化を見るためにCHFRをサブクローニングし、発現ベクターに搭載し、CHFR異常メチル化が見られる(CHFR発現が消失している)扁平上皮癌培養細胞QG56、QG95に遺伝子導入しCHFR安定発現株を樹立した。CHFR発現回復株と非発現株において増殖活性を比較したところ、細胞増殖はCHFR発現株において有意に低下した。また細胞形態学的にはCHFR発現株は多核の癌細胞が減少し、細胞の結合性が低下するといった変化が観察された。以上の臨床病理学的研究結果と分子細胞学的結果により、CHFR発現異常が治療対象となり得ることが示唆された。引き続き培養細胞において浸潤能の変化を検索している。遺伝子治療の観点からCHFR以外のCHFRと関連して動く下流遺伝子の検索のために、CHFR発現回復株と非発現株の発現遺伝子をDNAマイクロアレイにアプライし、解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床病理学的研究結果と分子細胞学的結果により、CHFR発現異常が治療対象となり得ることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
CHFRは癌抑制遺伝子に属するため、やや分子標的としては治療に使いにくい面があることは否めない。したがって、より治療に適した分子を見出すため、CHFRと関連して動く下流遺伝子の検索を主にDNAマイクロアレイ法により行う。
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Research Products
(2 results)