2010 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌における分離癌腺管及び周囲粘膜の分離腸上皮化生腺管、非化生腺管のメチル化解析
Project/Area Number |
22590317
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
菅井 有 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20187628)
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Keywords | 胃 / 腸上皮化生 / メチル化 / Epigenetics / 腺管分離 |
Research Abstract |
胃癌発生における初期状態を知るためには、癌の周囲粘膜の異常を調べることが必要である。癌の周囲粘膜には腸上皮化生がしばしばみられ、従来から腸上皮化生と胃癌発生との関連が指摘されてきた。従って腸上皮化生における癌関連遺伝子のメチル化状態を解析することは、胃癌発生の初期の分子異常を解明するために重要である。一方腸上皮化生は単一ではなく、完全型腸上皮化生と不完全型腸上皮化生に分類されてきた。胃癌との関連においては、後者との関連が指摘されてきたが、両者の分子レベルの異常についてはわかっていない。一方DNAメチル化は主要な発癌メカニズムの1つとして近年注目されているが、腸上皮化性腺管と非化生腺管間におけるDNAメチル化の差異、完全腸上皮化生腺管と不完全腸上皮化生腺管間における差異などについては十分検討されていない。そこで癌関連遺伝子であるMLH1、p16、HPP1、RUNX3、ZFP64、SFRP1、RASSF2A、E-cadherinにおけるDNAメチル化について分離腸上皮化生腺管、分離非化生腺管についての解析を行った。また胃癌腺管と周囲腸上皮化生腺管、非化生腺管においても検討を行った。 腸上皮化生腺管と非化生腺管においては、前者でDNAメチル化の頻度が有意に高かった。しかし、完全腸上皮化生腺管、不完全腸上皮化生腺管においては有意な差異はみられなかった。癌腺管と腸上皮化生腺管間の比較でもDNAメチル化には有意な差異はみられなかった。癌及び腸上皮化生の発生にはDNAメチル化が重要な役割を担っていることが示唆された。
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