2011 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌における分離癌腺管及び周囲粘膜の分離上皮化生腺管、非化生腺管のメチル化解析
Project/Area Number |
22590317
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
菅井 有 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20187628)
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Keywords | 胃 / 腸上皮化生 / メチル化 / 腺管分離 |
Research Abstract |
本研究では腸上皮化生腺管を不完全腸上皮化生腺管(MUC5AC陽性腸上皮化生腺管)とそれ以外の腸上皮化生腺管に分けて胃癌腺管とのメチル化状態の対比を行った。これまでの研究成果として、1)胃癌周囲粘膜の不完全型腸上皮仮化生腺管とそれ以外の腸上皮化生腺管とのメチル化状態には差異がないことが明らかになった。しかし、胃癌腺管との比較においても、腸上皮化生腺管との間に明らかな差異が指摘できなかった。このことはメチル化の蓄積に関しては、腸上皮化生腺管と胃癌腺管との間の共通の分子異常であることを示している。2)一方混在している非腸上皮化生腺管ではメチル化の蓄積が低く、メチル化の蓄積は炎症の発展の結果のみではなく、腸上皮化生の発生に蓄積が関与していることを示している。上記の結果は、腸上皮化生と分化型胃癌の発生にはメチル化の蓄積が共通の分子基盤を形成しているが、癌化の直接の原因ではない可能性を示唆している。3)不完全型腸上皮化生とそれ以外の腸上皮化生腺管の発生にはメチル化の蓄積状態に差異がある訳ではないことも示している。両者は単なる胃型形質の発現の差異に過ぎないのか、異なった分子異常を呈する異なった病態であるのか、メチル化の蓄積パターンからも検討をしてみたい。一方の癌との違いを解析するためには、腸上皮化生腺管と癌腺管のゲノムレベルの異常を解析することが必要で、現在染色体レベルの異常の関与が腸上皮化生腺管にみられるかどうかを現在検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腸上皮化生腺管を不完全腸上皮化生とそれ以外の腸上皮化生に分別することは既に終了しているので、分子解析の追加を行うのみとなっている。加えて癌腺管の分子解析概ね終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在採取されている腸上皮化生腺管は胃癌手術材料のもののみであるので、ESD(endoscopic submucosal dissection)材料において早期胃癌近傍の腸上皮化生腺管の採取も行っている。今後はこれらから得られた腸上皮化生腺管についても分子解析を行いたい。最終的には早期胃癌との分子比較も行う予定である(こちらの解析は順調に進展している)。
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