2010 Fiscal Year Annual Research Report
非結核性抗酸菌由来糖ペプチド脂質抗原の構造、生合成経路と宿主応答機序
Project/Area Number |
22590399
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
藤原 永年 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (80326256)
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Keywords | 感染症 / 細菌 / 脂質 / 糖鎖 |
Research Abstract |
Mycobacterium avium-intracellulare complex(MAC)は、細胞表層脂質抗原glycopeptidolipid(GPL)の糖鎖構造により、28種類の血清型に分類される。既知の12型GPLに加え、構造類似性を示した7,13型GPLの構造決定と生合成遺伝子機能の解析を行った。 まず、各GPLは各血清型MAC菌体からアルカリ安定脂質を抽出し精製純化した。質量分析とNMR解析から血清型特異オリゴ糖の構造を解析した。7,12,13型GPLは6-deoxy-Tal-Rha-Rha-Rha-4-N-acylated-4,6-dideoxy-Hexを共通の基本骨格とし、末端糖とそれにグリコシド結合したRhaに転移している0-メチル基の数と結合位置が相違点であることを明らかにした。末端Hexは、7型GPLが2位、12型GPLが3位にメチル基転移し、13型GPLではメチル基転移はなかった。末端から2番目のRhaは、12,13型GPLが4位にメチル基転移し、7型GPLではメチル基転移はなかった。コスミドライブラリーを作製しGPL生合成関連遺伝子領域を同定した。血清型を規定しているORFで各MACを形質転換して機能解析したところ、これらメチル基転移反応は独立した3種類のメチル基転移酵素遺伝子orf2, orfA, orfBにより規定されていた。各遺伝子のメチル基転移はorf2が末端Hexの2位に、orfAが末端から2番目のRhaの4位に、orfBが末端Hexの3位に転移する基質特異性を示した。12,13型MACは共にorfA-orfBを有するが、13型MACはorfBに1塩基置換を認め、機能欠失のためGPL構造が変化していた。 本年の研究により血清型7,12,13型GPLの構造と生合成遺伝子の関係が明らかとなり、次年度以降GPL構造と宿主応答相関の解析を可能にする基盤ができた。
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