2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590418
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
浦西 宏明 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (40363923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 尚 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40146600)
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Keywords | RBM15 / mRNA輸送 / 転写後調節 / NXF1 |
Research Abstract |
RBM15によるmRNA発現調節機構を解明するために、RBM15の機能領域の解析を行った。RBM15蛋白のC末端に存在するSPOC領域に着目し、その構造をin silicoにて解析した。その結果に基づいて、分子表面に存在すると予想されるアミノ酸をアラニンに変換した2種類のRBM15変異体(SPOC1,SPOC2)を作成した。レポーター遺伝子解析では、野生型RBM15はRTE-mRNA依存性のレポーター遺伝子発現を増強したが、SPOC1およびSPOC2ともにレポーター遺伝子発現の増強作用は認められなかった。SPOC1については野生型RBM15と比べて著しく蛋白発現量が低く、このためにレポーター遺伝子発現活性が見られなかった可能性があると考えられた。一方、SPOC2については発現ベクター量を調節することにより野生型とほぼ同レベルのRBM15蛋白発現量が確認され、変異させたSPOC領域内のアミノ酸がRBM15のmRNA発現機能に関与していると考えられた。また、免疫組織化学的解析ではSPOC1およびSPOC2ともに細胞核内に局在し、野生型RBM15と同様の細胞内局在を示した。さらにRBM15によるmRNA発現作用におけるSPOC領域全体の役割を明らかにするために、SPOC領域を欠損させた変異体RBM15ΔSPOCを作成した。予備実験の段階であるが、RBM15ΔSPOCによるレポーター遺伝子発現活性は野生型RBM15と比較して著しく低下した。RBM15ΔSPOCの蛋白発現量については野生型RBM15と同程度であった。このことから、SPOC領域がRBM15によるmRNA発現において重要な役割を果たしていることが示唆された。さらに生化学的解析により、mRNA受容体蛋白NXF1がRBM15のSPOC領域と直接結合することが明らかになった。これらの結果から、RBM15はSPOC領域を介してNXF1と結合することによりmRNAをNXF1核外輸送経路に導いていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究により、mRNA発現におけるRBM15の機能領域であるSPOC領域の重要性が明らかになった。またmRNA受容体蛋白NXF1がRBM15のSPOC領域と直接結合することが確認され、RBM15がmRNAをNXF1核外輸送経路へ導く分子機構の一部が解明された。
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Strategy for Future Research Activity |
RBM15によるmRNA発現および転写後調節機構をさらに追及する。これまでの研究結果を踏まえて、RBM15の機能領域であるSPOC領域について解析を進める。複数のレポーター遺伝子を用いた機能解析によりmRNA発現におけるSPOC領域の重要性および役割について調べる。特にmRNA核外輸送蛋白との相互作用領域としてのSPOC領域の役割を明らかにする。さらに、RBM15と類似の機能を有するヒトホモログ蛋白OTT3についても同時に研究を進め、RBM15およびOTT3によるmRNA発現調節機構の全体像を明らかにする。
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