2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22590445
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
王 継揚 独立行政法人理化学研究所, 免疫多様性研究チーム, チームリーダー (80231041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内田 理佳 独立行政法人理化学研究所, 免疫多様性研究チーム, 研究員 (80391887)
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Keywords | 胚中心B細胞 / 抗体遺伝子 / 体細胞変異 / DNAポリメラーゼ / DNA修復 |
Research Abstract |
本年度は以下の研究成果を挙げた。1、速い細胞増殖速度が胚中心B細胞における抗体遺伝子のA:T変異の誘発に重要であることを示した。抗体遺伝子の体細胞変異は、AIDによって誘発されることが知られている。AIDはシトシン(C)を脱アミノ化し、ウラシル(U)に変換し、その結果誘導されるU:Gミスマッチや脱塩基部位を複製する過程で、C:G塩基対に変異が導入されると考えられている。一方、C:G塩基対に加え、半数の変異がA:T塩基対に生じるが、C:G塩基対に誘導されたU:Gミスマッチが、どのようにA:T塩基対にまで変異を誘発するか不明である。我々の研究成果から、DNA複製は、単にC:G塩基対の変異を誘発するのみならず、A:T塩基対の変異誘発にも重要であることが示唆された。2、抗体遺伝子の体細胞変異の一端を担うPOLQの機能ドメインについて詳細な解析を行った。その結果、POLQのN末端のヘリカーゼドメインとC末端のポリメラーゼドメインが、放射線照射などにより誘導されるDNA二重鎖切断の修復にそれぞれ重要な働きをしていることが明らかになった。一方、POLQはDNA二重鎖切断の修復を伴う抗体遺伝子のクラス変換には必要ないことを示した。3、REV1の酵素活性を特異的に失活させたマウス(REV1AA)とPOLH欠損マウスの掛け合わせマウスにおける抗体遺伝子の体細胞変異について調べた。その結果、ダブルノックアウトマウスでは、それぞれの単独ノックアウトマウスに比べ、変異頻度がさらに低下し、しかもCからGおよびGからCの変異もほぼ消失した。この結果から、複数のポリメラーゼが相互作用しながら、さまざまな点変異を誘発することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
POLHと相互作用する胚中心特異的因子をまだ同定できていないが、A:T変異の誘発には速い細胞増殖速度が重要であることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続きPOLHに結合する因子の同定およびRamsとHeLaにおけるPOLHのユビキチン化及びリン酸化状態の比較を行い、何故胚中心B細胞でのみA:T変異が誘発されるのかを解明する。
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