2010 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生阻止および骨転移抑制作用を兼ね備えた物質の探索と開発
Project/Area Number |
22590511
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
芦野 洋美 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (40222608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 富男 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (60231239)
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Keywords | 血管新生阻止 / 海藻 / 硫酸多糖 / 破骨細胞 / Alivin |
Research Abstract |
本研究の目的は、海藻特有の硫酸多糖およびその類似体、また抗酸化成分の中から強力な血管新生阻害能を有する物質を探索しその制御機構を究明して、腫瘍血管新生の治療と予防に道を開くこと、更にこれらの物質が骨転移阻止物質として有効となり得るかどうかを明らかにし、付加価値の高い優れた治療、予防薬を開発することである。 本年度はまず、褐藻に含まれるフコイダンまたは類似した合成物質が、血管内皮細胞増殖因子VEGFによる血管新生促進作用をin vivoで阻止し得るかどうか明らかにするため、新規にアッセイ系を開発した(Biochem. Biophys. Res. Commun. 399,699-704, 2010)。今回開発したアッセイ系は、従来我々が行ってきた内在性のbFGFやVEGF等が盛んに働いていると考えられる4日目の胚を使うのではなく、10日目あるいは11日目の胚を用いた。始めにVEGF、あるいは阻害効果を検討する物質もマトリゲル中に入れ、次に鶏胚漿尿膜(CAM)上の血管の間隔の空いた部分にこのマトリゲルを置いた。 2日後に、限局した一部分に新生した血管の状態を観察することにより、比較的簡便に血管新生の促進およびその阻害実験を行うことが可能となった。VEGFやbFGFの添加によって血管新生を促進する条件下で行うマウスの背部皮下やウサギの目の角膜等を用いたin vivoの実験は、簡便性、コスト、動物愛護の点から問題があったので、これを解決し、実験のハードルを下げることができた。この方法を用いて、in vivoにおけるフコイダンおよび類似合成物質がVEGFによる血管新生促進を強く阻止することが明瞭になった。 また従来の4日目の胚を用いたCAMアッセイにおいて、紅藻のスサビノリの脂質画分に、血管新生阻止効力を見出すことができた。この画分に抗酸化成分が含まれている可能性も考えられるが、更に詳細な分画の阻害活性を検討している。
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Research Products
(8 results)