2011 Fiscal Year Annual Research Report
唾液を用いた新しい在宅検査法の開発と臨床応用-老人性肺炎の予防に向けて-
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22590548
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
白川 卓 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (30171044)
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Keywords | 老人性肺炎 / 抗菌ペプチド / β-ディフェンシン2(hBD2) / 炎症マーカー / C反応性タンパク(CRP) / ELISA / 唾液採取法 / イムノクロマトグラフィー |
Research Abstract |
本年度は老人性肺炎の早期発見と予防のための指標となる唾液中C反応性タンパク(CRP)とヒトβディフェンシン2(hBD2)の高感度測定法の実用化を行うために以下の検討を行った。 (1)測定法の開発と改良:前年度に検討した唾液中CRPおよびhBD2の高感度測定法の検証を行った。その結果、唾液中に含まれるムチンなどの夾雑物が目的物質の測定に大きく影響することが明らかになったことから、唾液の前処理法について種々の検討を加えた。CRPでは唾液に0.1%Tween20を加えることで検出濃度は2倍以上となった。また、hBD2では0.1%Tween20と0.2N塩酸で処理後、10,000Gで遠心処理することで未処理のものと比較して約3倍の検出濃度となり、同時測定における変動係数も17%から4.3%へと大幅に改善された。以上のことから、CRPおよびhBD2測定における適切な唾液採取法および前処理法が確立され、唾液中濃度の正確な測定が可能となった。 (2)健常人唾液の測定:健常成人15人を対象に唾液中CRPおよびhBD2濃度を測定した。CRPでは342±92.3(pg/ml、hBD2では2.O1±2.29(ng/ml)となり、健常成人のおおよその基準値が求められた。 (3)患者唾液の測定:老健施設において健常老人から唾液を採取し、健常老人の基準値設定を行うための検体収集を行った。また、小児科領域においても同様に基準値設定のための検体収集を行った。 (4)簡易検出法の開発:民間試薬会社との共同研究でCRP測定のためのイムノクロマトグラフィー法の開発を進めた。 (5)その他関連物質の測定:可溶性Toll用レセプター(sTLR)、hBD3、カテリシジンなどの炎症関連物質の測定法の確立のための基礎的検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
測定系の確立は順調に進んでいるが、検体採集については当初計画よりやや遅れている。これは老人施設での検体採取ではインフォームドコンセントが本人だけでなく家族の同意も必要なことから、施設側の理解が得にくいところがある。インフォームドコンセントの取り方を改善して行く必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
CRPおよびhBD2の測定については前処理法ならびに検出系が確立できたので患者検体を対象に測定を行い、病態および血中濃度との相関を検討する。同時に、開発中の簡易検出法であるイムノクロマトグラフィー法による唾液中CRP測定法を確立し、老人性肺炎の早期発見への適用を検討する。さらに唾液中の未知あるいは既知微量成分についてはさらに高感度なイムノPCRなどを利用した測定法を今後検討して行く。本研究の研究において最も重要な部分である検体採集については施設側と緊密な連携をとりながら速やかに遂行する。
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Research Products
(3 results)