2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本人健常成人男女における喫煙習慣とその中断(禁煙)が腎機能に及ぼす影響
Project/Area Number |
22590612
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
山田 裕一 金沢医科大学, 医学部, 教授 (70158228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田畑 正司 金沢医科大学, 医学部, 非常勤講師 (40188404)
宮尾 克 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (70157593)
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Keywords | 喫煙 / 腎機能障害 / 日本人 |
Research Abstract |
平成23年度は縦断調査を実施した。石川県のある健康診断機関で2003年と2009年に血清クレアチニン濃度の測定を含む職場定期健康診断を受診した7,964人(男4,637人、女3,327人)の労働者の中、2003年時点で慢性腎疾患(CKD)の主症状であるタンパク尿あるいは糸球体濾過量(GFR)の低下(60 mL/min/1.73m2未満)を示した者と腎疾患既往者、重症高血圧者、糖尿病者を除いた6,998人(男4,121人、女2,877人)について、2009年までの喫煙習慣を非喫煙、喫煙継続、途中禁煙の3群に分けて、2009年でのCKD症状の出現頻度を比較した。その結果、6年間非喫煙であった者に対する喫煙継続者でのタンパク尿出現のオッズ比は、男女を問わず、年齢、飲酒量、血圧、血糖ほかの交絡因子を調整しても2.5で、非喫煙者に比し有意に高かった。途中禁煙者のオッズ比は1.25で、非喫煙者と有意差がなかった。一方、喫煙継続者での低GFRの出現オッズ比は0.7で、非喫煙者に比し有意に低かった。これらの結果から、一般労働者において、喫煙の継続はタンパク尿の発現頻度を2倍以上高くし、禁煙はその抑制に有効であることが明らかとなった。一方で、喫煙は低GFRの発現増加に関連しないか、むしろ抑制的であることが示された。これらの結果は平成22年度の横断調査での所見とも一致する。今回の6年間の観察ではGFRの経年変化に喫煙者と非喫煙者で差が見られなかったが、タンパク尿出現者では非出現者に比してGFRの低下が有意に大きいので、より長期な観察を行えば、タンパク尿が出現しやすい喫煙者での顕著なGFR低下を認める可能性があると考えられる。今後さらに長期間の観察を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本人向けの新しい糸球体濾過量(GFR)推算法を用いて、日本人健常成人において喫煙習慣が腎機能に及ぼす影響を明らかにすることを本研究の目的とした。平成22年度の横断研究と23年度の縦断研究によって、タンパク尿の出現頻度が有意に高い一方、必ずしもGFRは低下しないという、喫煙者でのユニークな慢性腎疾患(CKD)の特徴を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
喫煙者でしばしば観察される高いGFRが、将来どのような経過を辿るのかを明らかにすることが最重要課題である。そのためにはより長期間(少なくとも10年間以上)の観察を行う必要がある。
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Research Products
(2 results)