Research Abstract |
法医解剖の際鑑定資料として採取・保存された恥骨標本(男性89例,女性50例)をレーザスキャナー(PICZA LPX-600,Roland社)で撮影して3次元恥骨像を作成し,主として年齢推定への有用性を指標とした場合の3次元像の再現性を評価した。具体的には,3次元像の結合面につきSuchey-Brooks分類により相(phase)判定を行い,実物標本に基づく判定値との異同を検討した。その結果両者の相判定値はほぼ同一であり,当該3次元像は解析の対象たりえる再現性を有することが示された。各相の結合面の形状の数値化の試みとして,各標本につき結合面の凹凸につき平均曲率を計測したところ,一般に女性において男性より大きな値を示し,また男女とも第1・2相(phase1,phase2)の平均曲率は第3~6相のそれより有意に大きかった。他方第3相以降ではほぼ一定となったことから,面全体の凹凸は第3相以降で平衡化しているものと推定されたが,凹凸の分布や割合,およびその年齢との関係についてはさらに検討を必要とする。 一方,連結不可能匿名化された10~80歳代男性126例,女性105例の骨盤部CT画像(撮影ピッチ1mm)から,可視化ソフトウエア(INTAGE Realia,KGT社)を用いて描出した恥骨結合面像,およびポリゴン編集ソフトウエア(Micro AVS, KGT社 ; 3D Editor, Roland社)により作成した恥骨結合像それぞれについて,画像の解像度等を検討したところ,いずれも主として第1・2相において認められる平行隆線,および第5相以降で顕著化する面全体の陥凹については観察が可能であったが,小孔やリッピングなど微細な構造は把握できなかった。したがって,当面の解析対象としては曲率等が採用可能であろうが,今後さらに解析法を検討すべきと考えられる。
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