2010 Fiscal Year Annual Research Report
鍼灸刺激の転写因子NFkBを介する局所炎症・免疫機転への分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
22590670
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Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
松熊 秀明 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 講師 (70518638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 元邦 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (00346214)
川畑 浩久 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 助教 (30454680)
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Keywords | 東洋医学 / 鍼灸刺激 / 炎症 / 転写因子 / NFkB / サイトカイン / マクロファージ |
Research Abstract |
東洋医学領域では、正常組織では炎症を惹起する方向・炎症部位では炎症を緩和する方向というbiphasicな反応様式が報告されているが、西洋医学的観点からは理解し難く、その証明はこれまで非常に曖昧であった。本研究では鍼灸刺激の炎症機転に関し、分子生物学的手法を用いて転写因子NFkBを軸としたメカニズム解明を目的としている。1)鍼+通電刺激したマウス正常皮膚・筋肉組織では免疫組織学的検討にて鍼刺入部周囲に若干のマクロファージ等炎症細胞の遊走・ICAMの弱発現を認めるものの、NFkBの発現確認は困難であった。また鍼深度による変化は組織学的評価では確認できなかった。一匹の皮膚・筋肉組織からのmRNA・蛋白・核蛋白の採取は微量であり、RT-PCR・ELISA等困難であり、各群数匹をまとめての評価を実施中である。正常組織では軽度の炎症を惹起する可能性があり、軽度の創傷治癒・褥瘡治癒などには有効であることが示唆され、補完医療としての可能性を探るため、褥瘡モデルを用いた検討を来年度行いたい。2)セロトニン惹起炎症モデルでは、NFkB・各種サイトカインの発現が増強するが、臨床評価上(大腿部の腫脹)、鍼+通電刺激による炎症抑制は明らかではなく、鍼深度による差異も認められなかった。鍼+通電刺激の変化をとらえるには、炎症を軽度とする炎症モデルの設定が必要と考えられ、至適条件を現在検討している。3)これらを踏まえ、(1)in-situ hybridizationを用いた切片上でのmRNA発現レベルの評価・(2)数匹まとめた群間の評価をreal-time PCR, ELISAを用いて実施・(3)変化をとらえやすい至適炎症モデルの確立と同モデルへの鍼+通電刺激によるNFkB活性化・各種サイトカイン発現レベルへの影響の検討等を実施中であり、来年度継続して検討予定である。また、現実的に補完医療となる可能性が考えられる褥瘡モデルでの鍼刺激の効果についても新たに検討を加えたい。
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