2011 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞特異的Ras、ERasを標的とした新規胃癌治療の基礎的解析
Project/Area Number |
22590688
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
久保田 英嗣 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (30405188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 洋望 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (40381785)
浅井 清文 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70212462)
青山 峰芳 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70363918)
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Keywords | ERas / 胃癌 / CPT-11 / Rapamycin |
Research Abstract |
われわれは、これまでの研究で、ES細胞特異的Ras, ERasが胃癌に発現し、胃癌の浸潤・転移を増強し、その発現が胃癌肝転移と有意な相関を有することを明らかにしてきた。最近、癌に対する新規分子標的薬として、Akt阻害剤、またAktのeffecterであるmTOR(mammalian target of Rapamycin)阻害剤が注目されており、一部の薬剤は既に臨床応用されている。PI3k/Aktシグナル伝達系は多くの癌種で活性化され、腫瘍の増殖のみならず、抗癌剤の耐性にも関与していることが報告されている。われわれはERasがAktを選択的に活性化していることに注目し、ERas発現とmTOR阻害剤であるRapamycinの効果について検討した。まずERas発現胃癌細胞を用い、ERas発現と癌治療に頻用されている5種類の抗癌剤、5-FU、CDDP、CPT-11、Paclitaxel、etoposideの効果について検討した。5-FU、CDDP、Paclitaxel、etoposideにおいてはERas発現と薬剤感受性に関連は認められなかったが、ERas発現によるCPT-11耐性の獲得を認めた。分子生物学的検討から、ERas発現胃癌細胞では、PI3k/Akt/mTORシグナル伝達系の活性、NF-kappaBの活性、さらにCPT-11の細胞外への排出に関与しているABCG2(ATP-binding cassette(ABC)transporter)の発現増強が確認され、これらの因子がERasによるCPT-11耐性に関与していると考えられた。またRapamycinを用いAktのeffecterであるmTORを阻害することにより、ERas発現胃癌細胞に対する殺細胞効果が認められ、さらにRapamycinによるCPT-11に対する薬剤感受性の増強も確認された。 以上の検討から、ERasは抗癌剤選択のバイオマーカーとして有用であることが示唆された。またERas発現胃癌には、ERasの下流因子であるmTORを標的としたRapamycinによる治療が、単独および他剤との併用で有効である可能性が考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で、ERasの胃癌における発現の意義については、分子生物学的な検討および臨床病理学的な検討から確認できたと考えられる。ERasを標的とした胃癌治療に関しての検討は十分とは言えず、マウスを用いた検討を進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
ERasによる胃癌の浸潤・転移能の増強、抗癌剤耐性について、vivoモデルを用いて検討を進める。すでに転移能増強はマウス肝転移モデルを用いた検討から確認されており、そのメカニズムに関して、免疫染色などの手法を用いて、更に精査する。
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Research Products
(3 results)