2011 Fiscal Year Annual Research Report
微小管構造のC型肝炎ウイルス増殖における役割とその抗HCV薬ターゲットの可能性
Project/Area Number |
22590724
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
山下 篤哉 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (00334871)
|
Keywords | 肝臓学 / 慢性C型肝炎治療薬 |
Research Abstract |
申請者は、これまでに、抗真菌剤Griseofulvin及び抗癌剤Taxol/Paclitaxelが、C型肝炎ウイルス(HCV)増殖抑制効果を有することを見出した。これら薬剤に共通する抗HCV効果の作用機序は、細胞内に存在する微小管の構造変化であると推定した。そこで、本研究は、GriseofulvinやTaxol/Paclitaxelをバイオプローブとして用い、細胞内の微小管の構造がHCVのウイルス増殖にどのような役割を果たすかを、ケミカルバイオロジー的なアプローチで検索を行った。まず、化学合成が行いやすいGriseofulvinをリード化合物とし、25種類の誘導体を作製、それぞれの抗HCV活性についてHCVレプリコン細胞を用いてスクリーニングを行った。このような方法から行った理由は、様々なGriseofulvinの誘導体を作製し、それら化合物の中で抗ウイルス活性の違いが生じれば、異なった活性を持つ化合物をツールとして用い、抗HCV効果の作用機序を解明することが出来るからである。25種類の誘導体の抗HCV活性についてスクリーニングを行った結果、共通母核を有し、一部の官能基の違いで、その活性が大きく異なる3種の誘導体を見出した。具体的には、Griseofulvinに結合させたベンゼン環の側鎖の一部の官能基の位置を変えるだけで、HCVのウイルス増殖を50%抑制する濃度が、約40倍近くの差を生じた。更に、それら化合物のうち抑制効果のもっとも高い化合物は、その50%抑制濃度は数μMオーダーであり、その抗HCV活性は、Griseofulvinより数倍高いものであった。以上のように、これまでの研究から、細胞内の微小管の構造とHCVのウイルス増殖について関連性を解明するためのツールとなる新規化合物を見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
GriseofulvinやTaxol/Paclitaxelを用いて解析を行う予定であったが、Griseofulvinの誘導体の一部の結果が興味深いものであった。そのため、更に、様々な誘導体を作製し、解析を行うという研究方針に変更し、様々な誘導体の合成にやや時間がかかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)得られた誘導体を使って、細胞内の微小管の構造とHCVのウイルス増殖の関連性について調べる。 2)得られた誘導体を結合させた磁気ビーズを作製し、このビーズを使って、結合するタンパクを同定し、活性の高い誘導体に結合するタンパクを精製・同定する。
|