2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590727
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 善基 京都大学, 医学研究科, 准教授 (00397556)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / マイクロRNA |
Research Abstract |
研究の成果 (1) 肝線維化に関係したマイクロRNAの同定 慢性C型肝炎患者105例を用いて線維化の程度別に肝組織中マイクロRNA発現プロファイルを作成した。その結果線維化の程度に応じて発現の変化するマイクロRNAを得た。ヒト肝組織のデータを検証するためにマウス慢性肝疾患モデルを用い線維化を四塩化炭素で誘導した際に見られる、マイクロRNAの変化を解析した。ヒトとマウス共通して線維化のステージが進行するにつれて、発現が亢進するマイクロRNAを4種得た(miR-199a、miR-199a*、miR-200a、miR-200b)。この4種のマイクロRNAはヒト肝星細胞株に過剰発現した所、線維化に関係する遺伝子(procollagen α1、MMP13、TIMP1)の発現を亢進させた。肝線維化刺激を起こす代表的な物質のTGFαを肝星細胞株に投与した所、同様に肝線維化関連遺伝子の発現亢進が得られたため、miR-199a、miR-199a*、miR-200a、miR-200bは種を超えて肝線維化を制御するマイクロRNAであると考えられた。 (2) 肝細胞癌の組織学的悪性度別のマイクロRNA 肝細胞癌(HCV由来)の患者73例を用いて組織学的悪性度に関係するマイクロRNAを同定した。このマイクロRNAの発現は生存率には影響しなかったが、再発度には差が見られた。 今度の目標 線維化の亢進によって発癌ポテンシャルは上昇する。その際に見られるマイクロRNAの発現の変化との関係を明らかにし、線維化抑制効果のある遺伝子を同定する。また癌の悪性度は細胞の増殖能、進展能に関係する。このような細胞の能力に影響する遺伝子の同定を試みる。
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