2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22590727
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 善基 京都大学, 医学研究科, 准教授 (00397556)
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Keywords | マイクロRNA / 慢性C型肝炎 / 肝線維化 / 肝細胞癌 / エクソソーム |
Research Abstract |
(1)慢性肝疾患の制御による肝発癌予防。 慢性ウイルス性肝疾患の肝組織より抽出したRNAを用いてマイクロRNAの発現をインターフェロン応答別、肝線維化の進展別にカタログ化した(BMC Med Genet 2010, PLoS ONE 2011)。インターフェロン関連遺伝子を網羅的に発現解析するために、マイクロアレイを作成し、インターフェロン応答別にインターフェロン関連遺伝子をカタログ化した(PLoS ONE 2011)。薬剤応答におけるマイクロRNA-インターフェロン関連遺伝子の対応をin silico解析によって標的遺伝子を同定した。感染肝細胞が肝線維化の主たる役割を行う肝星細胞をどのように活性化するのを明らかにするために、信号伝達経路として注目されているエクソソーム中のマイクロRNA解析を行った。慢性C型肝炎の血清エクソソーム64例と正常肝25例の解析で、HCV感染に関係するエクソソーム中のマイクロRNAを明らかにし、信号伝達に対する影響を解析する。 (2)肝発癌メカニズムの解明を基にした新規肝癌治療方法の開発。 外科的に切除した肝細胞癌110例より肝癌組織RNAを用いて組織学的分化度別のマイクロRNA発現プロファイルを解析し、組織学的分化度に応じたマイクロRNA発現パターンを明らかにした。その中の一つのマイクロRNAを対象に標的遺伝子を同定し、マイクロRNAと標的遺伝子の機能解析を行った。さらに今回標的にしたマイクロRNAは切除後の再発期間と相関する事を明らかにした(p<0.05)(投稿中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)慢性肝疾患の制御による肝発癌予防。 インターフェロン応答や肝線維化の程度を診断する新規バイオマーカーの作成を試みる事に対し、薬剤応答に関係するマイクロRNAとその標的遺伝子を明らかにした事、肝組織ではなく、簡便に採取できる血液中のエクソソームを解析対象とし、ウイルス感染に応じたエクソソーム中のマイクロRNA発現プロファイルを作成した。このことは新たなバイオマーカーとして有用であり、エクソソームは細胞特異的に情報伝達を行うために、エクソソーム表面に抗原を表出する事で、ドラッグデリバリーの特異性を高める事が出来、疾患の表現系に応じたマイクロRNAを入れる事によって、新規遺伝子治療として期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)慢性肝疾患の制御による肝発癌予防。 エクソソーム中のマイクロRNA発現プロファイルは慢性肝疾患の病期に対応する。病理組織情報なしで、慢性肝疾患の病態を評価するバイオマーカーとして有用である。今後解析数を増やし、解析アルゴリズムを開発し、臨床的に有用であるバイオマーカーを作成する。 (2)肝発癌メカニズムの解明を基にした新規肝癌治療方法の開発。 適切なマイクロRNAを導入する事によってin vitro実験で肝細胞癌組織の分化誘導を行ない、新規肝細胞癌制御方法を開発する。
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