2010 Fiscal Year Annual Research Report
エリスロポエチン受容体およびHIFを標的とする新しい心不全治療戦略の開発
Project/Area Number |
22590800
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加賀谷 豊 東北大学, 病院, 准教授 (90250779)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 守彦 東北大学, 病院, 助教 (30375084)
|
Keywords | エリスロポエチン / 心肥大 / 心筋保護 / 圧負荷 / 心不全 |
Research Abstract |
我々は、遺伝子組み換えヒトエリスロポエチン(EPO)が、マウスの圧負荷による左室収縮不全発症モデルにおいて、心筋保護的な役割を果たすかを検討した。胸部大動脈狭窄(TAC)を行ったマウスを無作為にPBS投与群,(TAC-PBS群)とEPO投与群(TAC-EPO群)に分けた。EPOは、2000単位/kgを週2回、8週間投与した。8週後の左室重量は、TAC-PBS群とTAC-EPO群のいずれにおいてもシャム手術群に比べて高値だったが、両群間に有意差はなかった。ヘマトクリットは、TAC-EPO群において(69%)、TAC-PBS群(46%)およびシャム手術群(44%)に比べて高値だった。心筋線維化の程度およびTUNEL陽性心筋細胞数は、TAC-EPO群ではTAC-PBS群に比べて、有意に改善していた。8週間の生存率は、TAC-EPO群においてTAC-PBS群に比べて有意に良好だった。心エコー図において、TAC-EPO群ではTAC-PBS群に比べて、左室拡張末期径および左室収縮末期径が有意に縮小し、左室短縮率は有意に改善していた。左室心筋の解析では、TAC-EPO群においてTAC-PBS群に比べて、STAT3、Akt、およびeNOSのリン酸化が亢進し、一方、P38のリン酸化は抑制されていた。血管新生に関連して、心筋の血管内皮増殖因子の発現および毛細血管密度にはTAC-PBS群とTAC-EPO群に差はなかった。以上より、EPOがマウスの圧負荷による左室収縮不全の発症モデルにおいて、血管新生に因らない機序による心筋保護効果を持つことが示唆された。
|
Research Products
(4 results)