2010 Fiscal Year Annual Research Report
皮下脂肪細胞由来幹細胞を用いた新規動脈硬化治療法の開発
Project/Area Number |
22590822
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平田 恭信 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (70167609)
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Keywords | 移植・再生医療 / 遺伝子 / 細胞・組織 / 循環器・高血圧 / 生理活性 |
Research Abstract |
【目的】皮下脂肪中に多く含まれている脂肪細胞由来肝細胞(Adipose-derived stem cells : ASC)は様々な細胞系統に分化することが知られている。本研究ではWistar ratから採取したASCを用い、in vitroにおいて血管内皮細胞(endothelial cell ; EC)に分化するかを検討した。また同時にratの大腿動脈血管傷害モデルにおいてACSを投与し、血管平滑筋細胞増殖への影響を検討した。 【方法・結果】ASCはCD29およびCD90を発現したがCD34は発現せず、これはASCが骨髄細胞由来間葉幹細胞に類似していることを示唆した。ASCを内皮増殖培養液(endothelial growth medium ; EGM)に培養しECに分化誘導させると、ASCはFlt-1を発現したが、Flk-1および成熟したECのマーカーであるCD31,VE-cadherinは発現しなかった。またASCはEGMで培養するとangiopietin-1を産生し、NO産生も確認された。Chemotaxis assayにおいてASCはECのmigrationを促した。EGM培養ASCを血管傷害した大腿動脈の血管腔内に投与したところ、内膜増殖を有意に抑制した。このときASCが直接内皮細胞に組み込まれていないため、EGM培養ASCを血管外膜側から投与したが、内腔側から投与したときと同様に内膜増殖を有意に抑制しECの修復が促進されていた。 【結論】これらの結果、ASCは成熟したECに分化する可能性は少ないが、傍分泌作用により内皮修復を促進した。EGM培養ASCによる内膜増殖抑制作用は、ESC自体が内皮に分化することによる内皮再生ではなく、傍分泌的作用によりECのmigrationを促進し、内皮を修復し内膜増殖を抑制すると考えられた。
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Research Products
(20 results)