2011 Fiscal Year Annual Research Report
ループス腎炎の病態発現におけるインターフェロン制御因子5の作用の解析
Project/Area Number |
22590893
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
多田 芳史 佐賀大学, 医学部, 准教授 (70284627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小荒田 秀一 佐賀大学, 医学部, 講師 (50304887)
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Keywords | 全身性エリテマトーデス / ループス腎炎 / インターフェロン調節因子 / Toll-likeレセプター / siRNA |
Research Abstract |
IRF-5欠損MRL/lprマウスを作成して、ループスの病態解析を行った。野生型のlittermate control MRL/lprマウスと比較した。昨年度は生存率や自己抗体、腎炎などについて検討したが、今年度はさらに脾細胞の機能などについて検討した。 1.マウス樹状細胞のサイトカイン産生能に関する検討 マウス脾細胞を単離し、ビーズ法にて樹状細胞(DC)を分離した。DCを各種Toll-likere ceptor (TLR)アゴニストで刺激しサイトカイン産生を検討した。IRF-5欠損lprマウスではTLR-7,TLR-9の刺激に対するTNFα、IL-6、IL-10などの産生が低下していた。またTLR-9刺激(CpG)によるインターフェロンα産生も低下していた。 2.マウス腹腔マクロファージのサイトカイン産生に関する検討 腹腔マクロファージを採取し、上記と同様にTLR-4,7,9のリガンドで刺激した。IRF-5欠損lprマウスマクロファージにおいて、TLR-7,TLR-9刺激によるTNFα産生は低下していたが、IL-6やMCP-1の産生では差を認めなかった。 3.IRF-5の発現抑制法に関する検討 IRF-5の発現抑制について検討した結果、核酸を抗原提示細胞特異的に導入するキャリア(SPG)を用いてIRF-5に対するsiRNAを投与することにより抑制効果が得られることがわかった。siRNAをアテロコラーゲンを用いてマウス個体に投与すると、脾臓でのIRF-5の発現が低下することも確認できた。 4.IRF-5の発現抑制によるマクロファージ機能に関する検討 野生型MRL/lprマウス腹腔マクロファージをTLR-9リガンドで刺激し、上清のサイトカインを測定する系において、IRF-5特異的siRNAを刺激1時間前に投与するとTNFαやIL-6の産生は著しく抑制された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であるマウスループスにおけるIRF-5の重要性は証明できた。腎炎の発症に深く関与していることも明らかにできた。さらに細胞レベルの実験により、Toll-likere ceptorを介したシグナルが重要であることも明らかにできた。以上の結果は研究目的で挙げた点のかなりの部分を網羅しており、順調に研究が進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はIRF-5の発現抑制によりノックアウトマウスで見られたような所見が得られるかを検討する。すでに本年度の基礎実験でsiRNAを用いた系がうまく働くことが確認できた。次年度はIRF-5に対するsiRNAとコントロールのスクランブル配列のRNAを用いて、抗原提示細胞特異的キャリアによる導入方法について検討を行う。まずは細胞レベルで行い、次にマウス個体に投与して抑制効果を検討する。これらの実験が順調にいけば、その後MRL/lprマウスに投与して、治療効果が得られるかを検討する予定である。
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Research Products
(6 results)