2010 Fiscal Year Annual Research Report
腎移植コホートにおける機能分子発現と治療効果に関するプロテオーム解析
Project/Area Number |
22590902
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
横山 仁 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50191531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 卓 金沢医科大学, 医学部, 助教 (50319050)
近澤 芳寛 金沢医科大学, 医学部, 助教 (80329408)
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Keywords | 腎移植 / 移植腎機能障害 / アデポネクチン / non classical HLA / circulating fibrocyte / NK細胞 |
Research Abstract |
本年度の研究計画に従い金沢医科大学において腎移植を実施した118例を抽出して新たな前向きコホートとして基礎プロファイルを作成し,これまでの予後調査成績ならびに測定指標を用いた多変量解析を実施した.さらに,経時的腎生検36例・71検体(生体腎移植24例・51検体、献腎移植12例・20検体)において機能分子を解析した.また,移植前後の免疫モニタリングを行った6例についてTh1, Th2, Th17, Treg(Foxp3+)サブセットの変化をフローサイトメトリー法により評価するとともにnon classical HLA(HLA-G5)分子と比較した.これらの検討から,移植腎機能に影響する因子として,献腎移植,スタチン使用,血清HLA-G5分子の増加が腎保護的に作用する一方,観察開始時の腎機能(eGFR)と総(高分子)ADPNが低下促進因子として抽出された.さらに,臨床病理学的診断における免疫担当細胞ならびに病変部血管の意義について,生検組織の間質病変に関して画像解析装置を用いたスコア化を実施し,circulating fibrocyte浸潤および傍尿細管毛細血管周囲(ptc)の線維化と比較した.腎移植生着例では、虚血再還流障害によると考えられるcirculating fibrocyteが一過性に誘導されたが,それに伴う間質線維化の進行は軽度であった.一方,慢性移植腎障害時の間質線維化ではptcにおけるαSMA陽性細胞の関与が示唆された.また,腎移植時の免疫モニタリングでは,移植後の末梢血リンパ球/NK/マクロファージにおいてNK細胞の移植3カ月後までの有意な低下とこれと比例した血清HLA-G5分子の低下が観察された.以上より,移植腎障害の過程において免疫学的および非免疫学的因子が各々独立して作用することが判明し,今後このコホートをより詳細に解析して予後改善と結びつく治療因子や機能分子を臨床経過に基づき特定し,新たな治療法開発の可能性を探索する.
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