2012 Fiscal Year Annual Research Report
腎移植コホートにおける機能分子発現と治療効果に関するプロテオーム解析
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22590902
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
横山 仁 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50191531)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 腎移植 / 移植腎機能障害 / アディポネクチン / 尿アルブミン / MCP-1 / アンジオテンシン受容体ブロッカー |
Research Abstract |
本年度の研究計画に従い金沢医科大学において腎移植を実施した118例の前向きコホートの基礎プロファイルに追加データを加えて登録ファイルを更新し,これまでの予後調査成績ならびに新たな測定指標を用いた多変量解析を実施した.この内,血清クレアチニン値 2.5 mg/dL以上の9例を除外した109例(92.4%)を解析対象とした.特に,治療薬としてアンジオテンシン受容体ブロッカー(ARB)が継続投与されていた74例と非投与対照群15例について,移植腎機能および尿中アルブミン・MCP-1を追加測定した.48週間の観察期間における推算糸球体濾過率(eGFR)変化に対して投与前の尿中アルブミン量,eGFR,尿中MCP-1が有意な相関因子であり,移植腎においても糸球体および尿細管における障害と投与開始時の腎機能が重要であることが確認された.さらに,尿中アルブミン(Alb)量変化に対しては,新規ARB投与群で尿中Albが有意に低下し、多変量回帰分析で尿AlbはΔeGFRと相関していた(beta index, 1.016, p=0.01).さらに,ARB継続投与例では,eGFRの低下が抑制された.この観察コホートにおいて,ARB長期投与による移植腎機能保護効果が示された.さらに,移植腎機能に影響する因子として,総(高分子)アディポネクチン(ADPN)分子の変化をより長期に確認すると経過に従い低分子ADPN比率の上昇が腎機能低下とより相関することが観察された.この現象は移植腎組織における間質線維化と関連した.以上より,移植腎障害の過程では,ARB使用における腎保護では,尿Albの抑制が重要であるとともにADPN分子量の変化が生じていることが判明した.今後このコホートを前向きに維持し,予後改善と結びつく治療因子および機能分子を特定し,新たな移植腎保護治療法の開発が可能と考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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