2011 Fiscal Year Annual Research Report
SHRSPコンジェニックラットを用いたストレス性高血圧遺伝子探索
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22590911
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
並河 徹 島根大学, 医学部, 教授 (50180534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 祐治 島根大学, 医学部, 准教授 (60228658)
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Keywords | 高血圧学 / 遺伝解析 |
Research Abstract |
本態性高血圧は複数の遺伝子と環境因子が複合して発症に関与しているが、その環境要因のひとつとしてストレスの重要性が古くから指摘されている。近年の社会的変化でストレスの影響が大きくなっており、ストレス性高血圧の1形態として「職場高血圧」の臨床的意義も問題となっている。SHRSPは飼育条件によって脳卒中発症頻度が変化するなど、ストレス感受性の高い高血圧モデルであることが知られている。我々は、このSHRSPにおいて第1染色体に高血圧遺伝子の存在する領域を見出し、正常血圧のWKYラットをもとに、この領域だけをSHRSPのゲノムと組み換えたChr1コンジェニックラット(WKYpch1.0)において、種々のストレスに対する交感神経系の反応性が亢進することを見いだした。 本研究では、この結果を踏まえ、新たに作成したさらに狭い領域をもつコンジェニックラットを用いて(1)そのストレス反応性を評価するとともに、(2)中枢において交感神経活性制御にかかわる神経核での遺伝子発現解析、sequence解析を通じて、候補遺伝子を絞り込むことを目的とする。昨年度の研究により、ラット第1染色体上の約1.8Mbpの領域に責任遺伝子があることが明らかとなったが、この領域内にある有力な候補遺伝子であるPhox2,Ship2を含むより小さな染色体領域をターゲットとする新たなコンジェニックを作成し、そのストレス感受性を検討した。また、交感神経活性を制御する中枢でのこれらの遺伝子発現や蛋白をコードする部分の配列の相違についてもSHRSPと対照ラットであるWKYとの間で比較検討した。これらの結果から、この2っの遺伝子はストレス感受性の責任遺伝子候補からは除外できることが明らかとなった。この結果については現在、論文投稿準備中である。現在、上記1.8Mbpの領域にある他の遺伝子について、検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
責任遺伝子の存在領域をさらに狭めることに成功しており、この領域内の遺伝子について、順次検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果に基づき、責任遺伝子存在領域をさらに狭めることに成功した。それに加えてSHRSP,WKYの全ゲノムシークエンスのデータを用いてこの領域の正確な範囲を決定することができた。今後、この領域内にある遺伝子のエクソン部分の配列を全ゲノムシークエンスデータに基づいてSHRSP,WKY間で比較するとともに、交感神経活性制御を行う中枢神経核における発現状況と上記2系統間での差について順次検討していくことで、責任遺伝子同定を達成する予定である。
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Research Products
(6 results)