2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経疾患でのミクログリアの病態発現に果たす役割の解明と診断治療への応用
Project/Area Number |
22590945
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
武藤 多津郎 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (60190857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 誠 名古屋大学, 医学部, 教授 (10187297)
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Keywords | glucosylceramide / lactosylceramide / microglia / lipid rafts / Parkinson病 / 神経免疫疾患 / 糖鎖生物学 / 糖脂質 |
Research Abstract |
本年度は、神経保護的ミクログリア(Mg-P)と細胞障害性ミクログリア(Mg-T)についてそれぞれ既に樹立したセルラインを用いてその脂質組成について詳細に検討を加えた。その結果、 1) 本研究を推進している中で、我々は血清・髄液中に抗グルコシルセラミド抗体(抗GlcCer抗体)、抗ラクトシルセラミド抗体(抗LacCer抗体)を有する各々一群の患者が存在する事を発見した。また、その抗体価は患者の臨床像とよく相関しており、治療により大きく抗体価が減少することを明らかにした。 2) Mg-PとMg-Tは、その脂質組成特に中性糖脂質組成に大きな差異があり、Mg-Tではグルコシルセラミド(GlcCer)、ラクトシルセラミド(LacCer)含量はMg-Pに比し著明に減少していた。さらに、それが生細胞で確かに違いがあるかを上記のある種の神経疾患患者に発見した抗GlcCer抗体、抗LacCer抗体を用いてimmunohistochemicalにも確認した。 3) Mg-P、Mg-T各細胞より調整したlipid raftsの脂質組成を調べた結果、全細胞より抽出した脂質組成と同様の傾向を示す事を確認した。 4) GlcCer合成に関わるグルコシルセラミド合成酵素(GlcT-1)の特異的抗体を用いて、上記両細胞よりpull-down assayを用いてGlcT-1蛋白量の比較を行ったところ、予想通り両細胞でその含有蛋白量には大きな差異があることを見出した。 以上、検討結果よりMg-P、Mg-T両細胞の持つ生化学的・糖鎖生物学的差異を利用して実際の神経患者の病理組織標本でこれら抗体を利用して病変部位にリクルートされているMgの性状を類推できるか否かを次年度に至急検討したいと考えている。
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