2010 Fiscal Year Annual Research Report
環境化学物質による核内受容体SXRを介した骨代謝調節作用の検討
Project/Area Number |
22591020
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Research Institution | Okinaka Memorial Institute for Medical Research |
Principal Investigator |
竹下 章 (財)冲中記念成人病研究所, 研究員 (20322646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 靖博 (財)冲中記念成人病研究所, 主任研究員 (50202164)
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Keywords | SXR / アセチルトリブチルクエン酸 / 薬剤性骨軟化症 / 環境化学物質 / CYP3A4 |
Research Abstract |
オーファン核内受容体であるステロイド・ゼノバイオティク受容体(SXR)は、肝臓や腸管に発現しCYP3A4の転写調節をおこなっている。CYP3A4の酵素誘導をおこす抗結核薬のリファンピシンやフェニトイン等の抗痙攣薬はSXRにリガンドとして結合し、CYP3A4の転写を活性化するが、これら薬剤の長期連用は慢性的に1.25vitD_3代謝を亢進し、薬剤性骨軟化症を誘発する。我々はこれまでビスフェノールA(樹脂)やフタル酸化合物(可塑剤)等の環境化学物質がSXRのリガンドとして作用する事を報告したが、薬剤添加物として認可されている可塑剤があり、長期間・相当量が生体に暴露されうる。しかしながらビタミンD代謝や骨代謝への影響は不明である。今回、薬剤添加物として用いられる可塑剤のうち、アセチルトリブチルクエン酸(ATBC)に強いSXRリガンド活性を認めた。ATBCは食品ラップ、玩具、食品添加物などフタル酸化合物の代用として汎用されている。ヒト腸管由来の培養細胞にATBCを加え培養すると1.25vitD_3と相乗的にCYP3A4遺伝子発現および酵素活性が増加し、ビタミンD受容体との相互作用が考えられた。siRNAを用いてSXRまたはVDRをノックダウンするとそれぞれの作用は減弱した。このATBCによるCYP3A4の酵素誘導はヒト培養肝細胞では欠如しており腸管特異的な作用が考えられた。ラット腹腔内にATBCを投与したところ、同様に十二指腸でCYP3A1 mRNAの発現増加を認めたが肝臓では認められなかった。以上から、ATBCはSXRを介して腸管特異的にCYP3A4の酵素誘導をきたす。腸上皮細胞における活性型ビタミンD_3代謝の亢進は、腸粘膜からのカルシウム吸収の低下など,骨代謝に悪影響を及ぼす可能性が示唆される。
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