2011 Fiscal Year Annual Research Report
均衡型および不均衡型転座の解析に基づく造血器腫瘍の発症機序の解明
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22591037
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 克也 神戸大学, 医学研究科, 非常勤講師 (60306199)
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Keywords | 染色体転座 / 悪性リンパ腫 / TFL遺伝子 / 骨髄異形成症候群 / 造血器腫瘍 |
Research Abstract |
【TFLの分子制御機構の解析】TFLがC末端に有するZn motifを欠失させたベクターを用いて細胞周期・細胞内局在の検討を行い、TFLによる変化が解除されるかどうかを検討中である。 【TFLノックアウトマウスの作成】BCL2を過剰に発現しているトランスジェニックマウスとTFLノックアウトマウスを交配させ、患者で起こった状況をマウス個体内で再現しリンパ腫を発生させるモデルを作成した。現時点では大きな変化は見られていない。 【der(5;19)(p10;q10)を有するMDS症例の解析】 der(5;19)陽性MDS 7症例を解析し、病型はRAEB、高齢男性、高度の貧血・血小板減少、白赤芽球症、赤芽球系の著しい形態異常、CD7陽性芽球、6番染色体の付加異常といった特徴を明らかにした。 【新規造血器腫瘍症例における均衡型・不均衡型転座の解析】 本年度は新規症例で見られた染色体異常もSKY法、FISH法、RT-PCR法等を用いて解析した。 1.BCL2を発現していないt(14;18)陰性濾胞性リンパ腫で、新たな異常dic(9;9)(p13;q34)を見出した。 2.t(3;12)(q26;p13)/ETV6-EVI1を有するAMLに、さらにETV6再構成を伴うt(7;12)(p15;p13)を見出した。 両方のアリルのETV6が再構成をきたした症例は2例目である。 3.B細胞性リンパ腫において新たな転座t(3;9;13;8;14)(q27;p13;q32;q24;q32)を見出した。MYC,BCL6の再構成を有するdouble-hitであることも確認した。 4.t(9;11)(p22;p15)を有するMDSにおいて、新たな構造を呈するNUP98/PSIP1融合遺伝子を検出した。これに対するRQ-PCRが移植後のMRDの追跡に有用であったことを示した。 5.t(7;17)(q22;p13)を有するAMLの再発時に巨核球形態異常と共にt(2;3)(p13;q26)の出現を認め、両者の関連を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規造血器腫瘍症例における均衡型・不均衡型転座の解析については順調に進展し、「研究発表」に示すように成果の発表が行えている。マウスの実験結果判明にはまだ時間を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は成果発表が予定の主体となっている。したがって今年度までの未発表の解析結果を速やかにまとめ、さらに論文・学会発表を進めてゆく方針である。
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Research Products
(7 results)