2011 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞を利用した遺伝性血液疾患の遺伝子治療法開発
Project/Area Number |
22591071
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
菅野 仁 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (70221207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 憲三朗 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (00183864)
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Keywords | 先天性溶血性貧血 / 動物モデル / 造血幹細胞移植 / 赤血球酵素異常症 / 単一遺伝子疾患 |
Research Abstract |
先天性溶血性貧血の一型であるピルビン酸キナーゼ(PK)異常症は解糖系酵素異常症の中で最も頻度が高い常染色体劣性遺伝疾患である。重症例は子宮内胎児死亡や新生児死亡の原因となり、無効造血を伴うことから二次性鉄過剰症が合併することも多く、患者のQOLは著しく損なわれることが多い。本症の根治療法は造血幹細胞移植であるが、ドナー不足の問題や稀少疾患であるが故に移植の報告も国内外で2件あるのみであり本研究ではPK異常症モデルマウス線維芽細胞から樹立した誘導型多能性幹細胞(iPS細胞)に対してウイルスベクターを用いて遺伝子治療を実施後、in vitroで造血幹細胞(HSC)へ誘導した後に自家造血幹細胞移植のソースとすることを目的として以下の実験をおこなった。レトロウイルスベクターを用いて、野生型(CBA)マウス成体(WTA)/胎児(WTF)およびPK異常症マウス成体(PKA)/胎児(PKF)より得られた線維芽細胞に山中4因子(Klf4、Oct3/4、c-Myc、SOX2)を導入したところiPS細胞様のコロニーを得た。これらのコロニーはSSEA1、アルカリホスファターゼ陽性であり、各種未分化マーカーを発現していた。遺伝子導入、造血幹細胞への分化および移植実験に供する前に、テラトーマ形成能を確認する目的でこれらのコロニーのうちPKA iPS細胞をSCID mouse精巣に移植したところ、腫瘍細胞様細胞塊が形成された。この細胞塊はHE染色による組織学的解析により、未分化な悪性腫瘍である可能性が考えられた。WTFおよびPKF線維芽細胞より同様の方法で再度iPS細胞の樹立を試み、現在WTF iPS細胞4ライン、PKF iPS細胞3ラインが樹立することが出来ており、現在テラトーマ形成試験により解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスiPS細胞の樹立はおおむね順調に実施出来たが、質的評価によりテラトーマ形成が確認されたため、野生型PKLR遺伝子の導入実験以降が進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
iPS細胞の樹立と並行して遺伝子治療用ベクターの作成を行っており、テラトーマ形成やがん化などの問題が克服できれば、遺伝子治療実験に用いることが出来ると考えている。来年度は野生型マウスiPS細胞由来の造血幹細胞を用いたPK異常症マウスへの造血幹細胞移植をまず行い、移植後の個体レベルでの治療効果評価方法に関して検討し、次段階として遺伝子治療を施したPK異常症マウスiPS細胞を用いた移植を実施する予定である。
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Research Products
(11 results)