2011 Fiscal Year Annual Research Report
抗プロトロンビン自己抗体の病原性の分子生物学的検討
Project/Area Number |
22591074
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渥美 達也 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20301905)
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Keywords | 自己抗体 / 抗リン脂質抗体 / 抗リン脂質抗体症候群 / 血栓症 / 単球 / 質量分析 / プロテオーム |
Research Abstract |
本研究では、抗リン脂質抗体症候群(APS)にみられる自己抗体の主要な対応抗原のひとつであるプロトロンビンに注目し、抗プロトロンビン抗体がどのように血栓傾向と関連するかを検討している。 抗プロトロンビン抗体は、向血栓細胞である単球や血管内皮細胞に結合してそれらを活性化する。本年度は、細胞表面のプロトロンビンに対するレセプターを同定するために質量分析解析を継続した。すなわち、プロトロンビンと結合する細胞表面タンパク質の検出のため、まず、FLAGタグプロトロンビン発現ベクターを構築した。上記をHEK293T細胞に発現させ、その後、培養上清中に分泌されるリコンビナントFLAGタグプロトロンビンを、RAW264.7の細胞溶解液と混合した。その混合物を使用し、抗FLAG抗体アフィニティークロマトグラフィーによりFLAGタグプロトロンビンと複合体を形成するタンパク質(プロトロンビン関連プロテオーム)を網羅的に分離した。このサンプルをSDS-PAGEにより分離し一次元電気泳動のバンドあるいは二次元電気泳動のスポットとして可視化した。上記にて可視化できたバンドをプロテアーゼによりゲル内消化し、抽出したペプチド混合物を脱塩し、試料の一部をMALDI-TOFを用いて測定し、マスフィンガープリンティング法によりデータベースを検索した。その結果、有力な候補分子として分子Aが同定された。分子Aは本来細胞内で発現する蛋白であるため、プロトロンビンの受容体として細胞表面、とくに向血栓細胞に発現しているかどうかを検討した。来年度は、リコンビナント分子Aを作成し、プロトロンビンとの結合条件や結合定数を詳細に検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗プロトロンビン抗体がどのように血栓傾向と関連するかを検討している有力な候補分子として分子Aが同定された。分子Aは本来細胞内で発現する蛋白であるため、プロトロンビンの受容体として細胞表面、とくに向血栓細胞に発現しているかどうかを検討できた。
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Strategy for Future Research Activity |
リコンビナント分子Aを作成し、プロトロンビンとの結合条件や結合定数を詳細に検討する。
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Research Products
(5 results)