2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591085
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
関根 知世子 順天堂大学, 医学部, 助教 (40392005)
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Keywords | 関節リウマチ / Notch / 血管新生 / リンパ管 / 破骨細胞 |
Research Abstract |
関節リウマチ(RA)モデルマウスにおいて、NotchリガンドのDelta-like 1(Dll1)単独阻害、Dll1およびDll4阻害により関節炎が抑制されたがDll4単独阻害では抑制されなかった。Dll4およびDll1は血管新生に関与することから、Dll1阻害による関節炎の抑制は血管新生の制御によるものなのか検討した。足関節組織切片を血管識別マーカー(CD31、CD105、VE-cadherin)に対する抗体で免疫組織染色後増殖滑膜領域あたりの血管数を解析すると、直径10μm未満の血管数がDll1またはDll4単独阻害により減少していた。しかしながら、Dll1およびDll4阻害では減少していなかった。また、経時的解析では、関節炎初期において関節炎は抑制されているにもかかわらず血管数に変化は認められなかった。静脈(EphB4陽性)、動脈(Ephrin-B2陽性)に区別しても関節炎初期、後期ともに相違は認められなかった。一方、リンパ管(LYVE-1陽性)はDll1単独阻害、Dll1およびDll4阻害により関節炎初期、後期ともに減少していた。さらに、Notch分子は破骨細胞分化にも関与していることから、Dll1阻害による破骨細胞への影響を解析した。ヒトおよびマウスにおいて、RANKLとM-CSFにより破骨細胞へ分化させる培養系で、Dll1はNotch2を刺激することにより破骨細胞分化を促進し、NotchリガンドのJagged1はNotch1を刺激することにより破骨細胞分化を抑制することを明らかにした。また、RAモデルマウスにおいてもDll1阻害により関節組織の破骨細胞が減少していた。以上より、Dll1阻害によりリンパ管新生および破骨細胞分化が制御され、関節炎抑制に繋がっていると考えられた。したがって、Dll1阻害は新たなRA治療法となる可能性が示唆された。Notch分子による特異な破骨細胞分化制御の解明は報告されておらず、治療の標的分子としての適性を探索する上で意義深い。
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