2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591096
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
藤本 隆 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (60264850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高澤 伸 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (50187944)
笠井 孝彦 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (50224374)
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Keywords | 免疫学 / シェーグレン症候群 / REG |
Research Abstract |
Reg(Regenerating gene)は膵β細胞の再生増殖に関わる遺伝子として同定された遺伝子群である。唾液腺・涙腺にリンパ球の浸潤と腺上皮の障害を特徴とする原因不明の慢性炎症性疾患であるシェーグレン症候群におけるRegの関与を検討した。前年度にはSS患者唾液腺を用い、REG Iαの唾液腺導管上皮での発現とREG Iαに関与する自己免疫応答がSSの唾液腺障害と再生機構に関与する事を明らかにした。本年度には、SS患者唾液腺組織でのREG Iα発現の機構を種々のサイトカイン・ケモカインの遺伝子発現の動態から検討した。次いで、ラット培養唾液腺導管細胞を用いてRegの遺伝子発現とその機構および抗REG抗体の関与についての検索を開始した。 SS患者と健常者唾液腺組織におけるサイトカイン・ケモカイン(IL-6,IL-8,IL-11,IL-22,IL-22R,IFNγ,IFNβ,CXCL1)のmRNA量をreal-time PCR法で定量した。IL-6とIL-8のmRNA量が健常者に比してSS患者組織で有意に増加していた。そこで、SS患者唾液腺組織でのREG IαのmRNA量とIL-6あるいはIL-8のmRNA量との関連を検討した。REG IαとIL-6の遺伝子発現量は有意な正の相関を示したが、とIL-8の遺伝子発現は相関を示さなかった。次に、IL-6の受容体であるgp130とIL-6Rの唾液腺組織でのmRNA量は健常者とSS患者組織間で差を認めなかった。以上の結果から、SS患者唾液腺組織でのREG Iα発現はIL-6発現がその調節役を担っていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に基づき、期待した実験成果が得られており、学会発表および論文発表での成果報告を行っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)培養唾液腺細胞におけるRegの意義の解明(継続) 前年度までのシェーグレン症候群(SS)ヒト唾液腺を用いた実験結果で認められた唾液腺の障害・再生におけるReg、サイトカイン、抗REG抗体の意義を培養唾液腺導管細胞で検証する。 (2)動物モデルを用いた慢性唾液腺炎におけるRegの意義の解明 慢性唾液腺炎を発症する代表的なモデルマウスであるMRL/lprマウスと研究分担者らの作製したRegノックアウトマウス(Unno,Nata,Takasawa et al.Diabetes 51,S478-S483,2002)を交配することにより、MRL/lpr・Regノックアウトの系統を作製する。唾液腺組織の病理像および経時的変化を解析することにより唾液腺の障害・再生の機構におけるRegの意義を明らかにする。次に、動物モデル唾液腺炎に薬物あるいは遺伝子導入によりReg発現を調節することによる唾液腺炎の病理組織学および唾液分泌能の変動を検討する。
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Research Products
(8 results)