2011 Fiscal Year Annual Research Report
補助シグナル分子マーカーによる喘息疾患誘発性CD4T細胞サブセットの分類と同定
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22591098
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
秋葉 久弥 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60338316)
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Keywords | 補助シグナル分子 / CD70-CD27 / 喘息モデルマウス / T細胞分化 |
Research Abstract |
IL-4,IL-5,IL-13を産生するTh2細胞は、喘息などのアレルギー疾患の発症と密接な関係がある。T細胞に発現する補助シグナル分子CD27は、抗原提示細胞上のCD70と結合することによりCD8 T細胞の機能調節に関わると考えられているが、CD4 T細胞の機能にも関わると考え、卵白アルブミン蛋白(OVA)誘発性喘息モデルマウスに抗CD70抗体を投与して、発症の促進・抑制の効果の検討を行った。誘導期に投与した結果、気道過敏性亢進の抑制、気管支肺胞洗浄液中の好酸球数の減少、OVA再刺激によるT細胞増殖およびIL-4,IL-5,IL-13の産生抑制が有意に認められた。発症期に投与を行っても変化はなかったことから、この抑制効果はCD4 T細胞の分化抑制によりもたらされた効果と推察し、さらにDO11.10/Rag-2^<-/->マウスにOVAを免疫して、リンパ節CD4T細胞上のCD27発現の有無を解析した。結果、リンパ節CD4 T細胞はCD27^+群とCD27^-群に分かれ、CD27^+群ではIFN-γを、CD27^-群ではIL-4,IL-5,IL-13を有意に産生することが明らかになった。このDO11.10/Rag-2^<-/->マウスにOVA免疫とともに抗CD70抗体を投与した結果、CD27^- CD4 T細胞数が有意に減少した。従ってDO11.10/Rag-2^<-/->マウス生体内では、抗原提示細胞上のCD70とナイーブCD4 T細胞上のCD27が結合した後にCD27の発現量が減少、CD27^- CD4 T細胞となり、同時にCD27を介したシグナル伝達によりTh2タイプサイトカイン(IL-4,IL-5,IL-13)を産生するTh2細胞へと分化を誘導していることが示唆された。抗CD70抗体の投与がCD27^- CD4 T細胞数を減少させたことから、OVA誘発性喘息モデルマウスにおける抗CD70抗体による発症抑制効果は、Th2細胞分化の阻害あるいはTh2細胞数の減少によりもたらされた効果だと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究当初の「T細胞の活性化・不活化に必須の補助シグナル分子をマーカーにして、生体内におけるCD4 T細胞サブセットの分類を行い、発現する分子の役割とともにサイトカイン分類と比較してエフェクターCD4 T細胞の解析を行う。喘息症状を誘発する病原性CD4 T細胞サブセットの同定を行う。」という目的は本年度研究実績からも概ね順調に進んでいると思える。
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Strategy for Future Research Activity |
タイプIIコラーゲン誘発性関節炎マウスや喘息モデルマウスに抗TIM-4抗体の投与を行った結果、TIM-4は未知のレセプターとの結合によりCD4T細胞に抑制シグナルを伝えている事を示す結果が出ており、現在この未知のレセプターの同定を急いでいる。これとは別にTIM-4はマクロファージやマスト細胞などの炎症性細胞に作用し、これらの細胞の機能を亢進させ病態悪化に関与することも示されたことから、T細胞の分化とは離れ抗炎症作用のメカニズム解析を行う予定でいる。
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Research Products
(14 results)