2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト神経幹細胞を用いた神経芽細胞腫発生メカニズムの解明
Project/Area Number |
22591165
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
青山 峰芳 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70363918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 清文 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70212462)
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Keywords | 神経芽細胞腫 / ヒト神経幹細胞 / ヒトiPS細胞 / N-myc遺伝子 / 腫瘍発生 |
Research Abstract |
申請者はヒトiPS細胞からヒト神経幹細胞を作成し、神経幹細胞に癌遺伝子であるN-mycを恒常的に発現させることで、正常細胞である神経幹細胞が腫瘍化し、神経芽細胞腫様に変化する可能性の有無について検討している。この成果は、正常細胞が腫瘍化するモデルをin vitroで再現することとなり、腫瘍発生メカニズムを解明する知見となると考えている。今年度において、昨年度に引き続きヒトips細胞由来神経幹細胞を作製し、得られた神経幹細胞をニューロスフェアと呼ばれる浮遊細胞の塊として培養を維持した。継代培養を繰り返し、神経幹細胞の分化能の変化について、細胞染色を用いて解析した。ニューロスフェアをマトリゲルコートによって接着性を獲得したカバーガラス上に移し培養を開始した。特定の未分化維持因子(塩基性線維芽細胞増殖因子FGF2および白血病抑制因子LIF)を除去するタイミングを工夫する事で神経細胞のみでなく、グリア細胞へも分化誘導させることを試みた。マウス神経幹細胞では2世代目の神経幹細胞がすでにグリア細胞への分化能を獲得しているのと比べ、ヒト神経幹細胞では10世代以上を重ねても依然として神経細胞のみに分化した。様々な発生段階のin vitroモデルとなる神経幹細胞を準備するため、現状では、ヒトips細胞由来神経幹細胞ではなく、マウス神経幹細胞を用いた実験から基礎的データを蓄積する方針である。また、N-myc遺伝子を神経幹細胞へ遺伝子導入するためのベクターをpackaging細胞に導入し、レトロウイルスベクターの作製に成功した。ヒトiPS細胞由来神経幹細胞に感染させたところ神経幹細胞内での発現誘導は確認できなかった。この点についても、マウス神経幹細胞を用いた実験から基礎的データを蓄積する方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
様々な発生段階のin vitroモデルとなる神経幹細胞を準備する必要があるが、ヒト神経幹細胞では10世代以上を重ねても依然として神経細胞のみに分化する神経幹細胞しか作製できていない。また、ヒトiPS細胞由来神経幹細胞のレトロウイルスへの感染効率が予想以上に低かったため。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) 様々な発生段階のin vitroモデルとなる神経幹細胞を準備する必要がある点と確実にecotropicなレトロウイルスベクターを用いて神経幹細胞へ癌遺伝子であるN-myc遺伝子を導入する必要がある点を考慮して、今後はマウス神経幹細胞を用いた実験から基礎的データを蓄積する方針である。
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Research Products
(15 results)