2010 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病血管炎から動脈硬化性変化への進展に関する増悪メカニズムを探る
Project/Area Number |
22591188
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
河井 容子 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (60405248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜岡 建城 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (60189602)
小澤 誠一郎 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (40405246)
問山 健太郎 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (00433285)
加藤 竜一 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (80398370)
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Keywords | 川崎病 / 動脈硬化 / 酸化ストレス / 血小板 / 血管障害 / 抗血小板療法 |
Research Abstract |
血管生物学的研究の進歩により、血管障害や動脈硬化の発症には炎症と酸化ストレスがtriggerとなり、血管内皮機能障害を中心とした病態から硬化性病変を形成していくことが明らかとなってきた。また、この血管内皮機能障害により種々のサイトカインネットワークの活性化により血小板活性化が惹起され、血管障害や動脈硬化性病変が進展していく流れも示されてきた。本研究では、川崎病において、血管障害および動脈硬化性変化の発現にとって主要な危険因子といえる酸化ストレスおよび血小板活性化の存在とその臨床的意義について臨床的な面から検討した。血小板活性化マーカーとしては血小板由来マイクロパーティクル(以下PDMP)を、酸化ストレス指標として血中ヒドロペルオキシドと血中還元力のバランスを評価した。 川崎病急性期における血小板活性化は我々の予想をはるかに上回り、6か月以上の長期にわたって持続していた。このため、川崎病では血管障害と硬化性変化への進展に血小板活性化が長期にわたって関与する可能性が明らかとなり、抗血小板療法の臨床的意義が初めて示された。また、PDMPは病態の評価に有用な指標となる可能性が示された。 また、酸化ストレス状態も急性期の炎症所見が消失した3か月以後も持続していた。このことは、より長期にわたってサイレントな血管障害進展の環境が続いていることを意味しており、酸化ストレスが川崎病の病態に重要な臨床的意義を有している可能性が初めて明らかとされた。この点から、酸化ストレス動態の評価は治療効果の評価のみならず、サイレントは血管障害の病態評価に有用であると考えられる。一方、IVIG不応例では明らかに血中還元力(BAP)が低値であり、その点から酸化ストレス状態が増強する傾向が見られ、この点がIVIG不応例での血管障害の発現頻度が高いことに関連している可能性が今後検討されるべきであると考えられた。
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