2011 Fiscal Year Annual Research Report
塩酸ドネベジルを用いた放射線治療後の高次脳機能低下症に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
22591384
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐々木 良平 神戸大学, 医学部附属病院, 特命准教授 (30346267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 泰司 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (00324921)
西原 賢在 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (20452493)
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Keywords | 塩酸ドネベジル / 放射線治療 / 高次脳機能 |
Research Abstract |
本研究の目的は、その放射線治療後の高次脳機能障害に対する新規治療方法の開発である。アルツハイマー病の治療薬である塩酸ドネベジルを用いた照射後の高次脳機能障害に対する有効性を検証する。塩酸ドネベジル(商品名:アリセプト)は、本邦で開発された抗コリン作用を有するアルツハイマー型痴呆の治療薬であり、高次脳機能障害の進行抑制効果が広く示されている。また一方で、塩酸ドネベジルに神経細胞自体のストレス刺激に対する保護作用があることも近年報告されており、この作用機序に関しては、放射線照射後の脳機能低下を改善する可能性が高い。 臨床研究では神戸大学大学院の倫理委員会の承認を受け、中枢神経に対する放射線治療後に高次脳機能障害を来した症例で、適確基準を満たす症例に対して塩酸ドネベジルの投与を行った。実施した症例では高次認知機能検査にて、その改善が認められた。適確基準のためか、症例の登録は3例にとどまり、再検討の必要性が考えられた。 また、放射線脳障害の動物実験モデルの作成に取り組んだ。6週齢のC57BL/6マウスを用いてマウスが生存できる線量の検討を行った。生存のLD50は全脳照射で約60Gyである実験結果を得て、同時にシグマカーブの作成を達成した。一方、照射後のマウスの認知機能に評価に関して複数の評価テストを試験したが、認知機能低下を明らかに証明することが困難であり、動物実験モデルの作成に関しては、照射後より長期間の経過を経てから実験を行う(現在は照射後1ヶ月)、老齢マウスを使用する、マウスの系統を変えるなど、更なる検討が必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床試験の中で、設定した適確基準が厳格すぎると考えられた。動物実験ではより長期の観察が必要である事が判明したので、今後実施していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として、臨床試験の改訂した適確基準を更に改訂し、症例集積に努める。評価数を増やさなければ塩酸ドネペジルの有用性の判定が困難であるので、引き続き努力していく。
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Research Products
(26 results)